農業協同組合新聞 JACOM
   
特集 米事業改革とJAグループ

JA全農の米消費拡大事業
おにぎり、弁当、米粉100%パンなど多彩な事業で「おいしさ」発信

 JA全農米穀総合対策部ではおにぎり店舗や国産農畜産物にこだわった「全農ぴゅあ弁当」などの販売、さらに米粉100%のパンの開発など多彩な事業で米の消費拡大を図っている。今回は最近の事業について紹介する。

◆米粉100%使用のパンを開発―アレルギー対応の差別化商品

米粉100%のパン
米粉100%のパン

 JA全農では「米粉パン」の開発、販売にも取り組んできたが、このほど米粉だけを使用したパンを開発した。米はもちろん国産米。米粉とつなぎで作ったパンではなく100%米粉というのが大きな特徴だ。
 大手生協との協議の結果、製品化されたもので9月から販売されている。
 米粉のほかに使用している原材料はイースト菌、砂糖、塩、水、油脂だけで小麦、卵、乳製品は一切使っていない。
 卵や乳製品などにアレルギーを持つ人は多く、普通のパンを食べられないという悩みを抱えている。そうした消費者の要望に応えた食物アレルゲン除去のパンである。
 小麦や卵などの原材料を使用しないことによって、米の甘みが残ったパンになったという。食感は米の粘り気が感じられる。
 もうひとつの特徴は、油脂や砂糖などの原材料も製法や原料などが確かなものという点。たとえば、油脂はなたね油を使用しているが、原料のなたねに遺伝子組み換え作物が使用されていないことや混入防止策もとられていることなど製法、管理が明確なメーカーが提供しており、それをしっかり裏付けられる体制で供給している。消費者の安全、安心の関心に応えている点でも注目されるパンだ。

◆米の大切さの理解広げる

 米粉はこれまで和菓子などの原料として使われてきたが新しい用途開発も課題だった。パンの開発はそのひとつだが「米粉が原料だから米を食べてもらうことになる。食事が洋風化してパン食も増えているが、そのなかでもきちんと米を食べていただく試み」(米穀総合対策部)で、生協との協議では、こうしたパンは日本農業の基幹である水田農業の大切さへの理解を広めることにもなるとの認識も生まれたという。
 そのまま食べてもおいしいが電子レンジやトースターで軽く焼いてもいい。しかも調理では、和、洋、中華いずれの具にも合うという。たとえば、つくねやきんぴら、つくだ煮などをはさんで食べてもおいしい。開発の過程では「軽く焼いてしょうゆをたらして食べるのがうまい」との声も出たとか。パン食よりごはんのほうが合うおかずは多いといわれるが、米粉100%パンならおかずや具のバリエーションも広がるといえそうだ。
 JA全農では「米粉100%パン自体が差別化商品」と位置づけ今後生協などを中心に販売を広げていく考えだ。

◆「おにぎり亭」が開店1周年―イート・イン・コーナーを新設

JAビル地下の「パールライスおにぎり亭」
JAビル地下の「パールライスおにぎり亭」

 昨年8月に東京・大手町のJAビル地下にオープンした「パールライスおにぎり亭」が開店1周年を迎え、8月末から謝恩セールを開催し、おにぎり全品を100円で提供した。期間中は大盛況で店の外まで行列ができ、最終日には来店者は300人を超えたという。同店では、開店以来、手作りのおにぎりを販売。米はコシヒカリ。価格帯は130円から170円程度で梅、昆布、おかかなど基本メニューのほか、梅ちりめんや鮭トロも人気商品だ。
 営業時間は朝8時から夕方の6時で、お米がおいしいと評判でファンも増え、ふだんでもお昼時には行列ができる。ランチタイム(午前11時30分〜午後1時)には、「日替わりおにぎり2個とみそ汁セット」を300円。同「3個セット」を400円で販売。
 現在は1日500個程度の販売数。関連会社も定期的に購入しているほか、米穀事業本部では毎週金曜日を「おにぎりの日」として同店を利用している。
 店内ではおにぎりのほか、全農ぴゅあ弁当やサラダ、惣菜、デザート飲料なども販売。オープン以来、「店内で食べられるスペースは?」の声が多く、この10月にはイスを用意してイート・イン・コーナーを新設する。また、今後は2店舗めの出店も検討していくことにしている。

◆10月に新メニュー「全農ぴゅあ弁当」―横浜スタジアムで人気の「濱弁」も充実

濱弁

 おにぎり店舗とともに、「ごはん」の消費拡大事業として展開している「全農ぴゅあ弁当」。いうまでもなく食材は国産農畜産物でJAグループならではの弁当だ。
 平成14年から発売を開始し、店頭ではJR東京駅構内で販売している。メニューは「鶏づくし弁当」など2種類。10月上旬には新メニューの発売が開始される。
 駅では毎日完売。現在は配送時間の関係で朝からお昼に店頭に並んでいるが、近く配送時間を変更して、昼から夕方にかけて店頭に並ぶようにし、昼食、夕食需要に向けて販売拡大に対応することにしている。
 そのほかJAグループや関連会社の会議での昼食にも利用されている。

◆野球解説者がおかずを考案

 (株)横浜スタジアムと(株)TBSラジオ&コミュニケーションズと共同で企画、開発し昨年から横浜ベイスターズの試合日に販売している「濱弁」は、今年はプロ野球開幕当初から販売を開始した。
 今年は、横浜スタジアムの名物にふさわしいように、ベイスターズ(星)の優勝(夢)を願ってお米は北海道の「ほしのゆめ」を採用した。
 また、おかずは「よこはますたじあむ」が9文字であることから、9品をそろえた。
 また、今シーズンは、TBSのプロ野球解説者6人が4月から9月までそれぞれ一人一品づつおかずを「おすすめの一品」として提供しているのが特徴。
 たとえば、4月は盛田幸妃氏(横浜OB)の「かにフレーク」。5月は田淵幸一氏(阪神OB)の「シュウマイ」など。
 弁当にはそれぞれおしながきが入っていて、月がわりで解説者のコメントも掲載。盛田氏は「かにフレーク」を選んだ理由に「北海道出身なので海産物が好き。遠征の弁当で食べたかにフレークが忘れられません」。田淵氏は「子どものころから肉料理が好きでした。シュウマイの入ったお弁当は大歓迎」などとコメント。横浜スタジアムに足を運べば毎月違ったメニューの「濱弁」が楽しめるということになる。
 こうした弁当の販売で、改めて国産農畜産物の消費拡大と日本農業への理解を広く消費者に訴えていくこともJA全農のめざすことで、15年度は8万3000食を販売した。

(2004.10.7)


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