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特集:2002年新生全農・事業刷新をめざして

鼎談
JAの全国ネットワークで本来の力発揮を
関心高まる安全・安心 揺らいだ信頼の回復へ

出席者
木下順一 
JA全農経営委員会会長
小島正興 
農林中央金庫監事
梶井 功 
東京農工大学名誉教授

 JA全農の木下会長は食料の安心・安全とともに「安定」を強調。安定供給を含めた3本柱確立へ食料自給率の向上を熱っぽく語った。経済事業刷新では生活店舗の赤字解消の生々しい事例を紹介した。小島氏はJAグループが持つ底力を指摘。それは大手スーパーなどの強大なバイイングパワーにも匹敵するが、販売・購買の両事業とも、全国ネットが持つ力を「発揮していないではないか」と経済事業の問題点を鋭くついた。梶井氏はそうした意見を引き出しながら、農水省の生産調整研究会が出した中間とりまとめの論点なども取り上げ、「新生全農の事業刷新」をめぐる3者鼎談をまとめた。

◆問題解決へ各界の知恵出して

木下順一氏
きのした・じゅんいち 昭和2年生まれ。62年長野県飯田中央農協組合長理事、平成3年同信州いいだ農協組合長理事(飯田中央農協合併)、8年同農協中央会・各連合会会長、9年同みなみ信州農協組合長理事(信州いいだ農協合併)、12年全共連長野県本部運営委員会会長、13年全農長野県本部運営委員会会長、長野県みなみ信州農協会長、14年JA全農経営管理委員会会長就任。

 梶井 最初に会長就任に当たっての抱負をお聞かせ下さい。

 木下 まず全農チキンフーズ(株)の表示違反という、あってはならないことが起きまして、私どもは今、全力を挙げて信頼回復に努めているということを申し上げておきたいと思います。
 次に食料自給率の問題ですが、40%といった状況を何とかしなくてはいけません。とくに減反をしながら輸入している問題があり、希望や誇りを持って農業をやれる状態ではありません。だから後継者が非常に少なくなってきています。
 一粒のお米の尊さを教えた昔と違って、今はカネさえ出せば何でも簡単に買えるといった風潮になっています。これが日本の荒廃の原因だと思います。
 米が不作だった平成5年、日本は世界中の米を買いあさり、その結果、米の輸入国から非難を浴び、海外のメディアからは「日本人はカネで人間の命を買うのか」と罵倒されました。確かに食糧は命の糧なんですよ。
 そうした経験を忘れずに自給率を上げるべきですが、このままでは下がる一方で、もはや独立国とはいえなくなる。政治家や政府は何を考えているのか。日本は農地を遊ばせて、他国から食料を買い入れている。農業には大量の水と、また土地がいるから、農産物輸入は他国の水や優良農地を買っているのと同じです。こんなことが長続きするはずがない。やがて破たんがきて戦争です。食い物から戦争というのが歴史の教訓です。
 食料や教育などの問題解決には各界各層の知恵を出し合う必要があります。その中で農業を理解していただき、自給率をせめて50%以上には持っていきたいと思います。私が昔、ブロイラーを飼っていた当時、米国では広く各界のトップを集めて中年太りによる老人病の予防対策を検討しました。その結果、牛肉よりもブロイラーが予防に役立つという取りまとめをしたことを思い出します。
 教育といえば少子化が騒がれていますが、農村は子どもにとって素晴らしい教育環境だ。もっと農村を活用すればよいのに何を騒いでいるのかと思いますよ。後継者対策としてもね。
 
 梶井 先日、本紙の企画で遠藤農水副大臣にお会いした時、「食と農の再生プラン」の工程表に自給率のことが書かれていないのは問題だと質問しましたら「自給率向上は当然の前提だから書かなかったけど、やるべきことはやります」という答えでした。(本サイト「最低価格保証制度の導入は「国の責任」」)しかし経済財政諮問会議にあんな工程表を出したことをちょっと不安に思っています。
 
 木下 あれは問題ですよ。生産調整研究会の中間まとめも含めましてね。結局、あれは自由経済の中で、米を作りたい人は自由に自分の責任で作りなさい、政府は米に責任を取りませんという内容です。そんなことになったら、たちまち日本の農村はつぶれてしまいますよ。

◆構造問題を考える大きなチャンスに

小島正興氏
こじま・まさおき 大正13年神奈川県生まれ。東京帝大農学部農経卒。経済安定本部に勤務。昭和26年丸紅(株)入社、業務部長、広報部長等を経て、50年常務、56年専務。セコムに移り61年副社長、62年副会長、平成7年顧問を経て退任。現在農林中央金庫監事等。

 梶井 小島さんにはJA全中の経済事業刷新委員会座長でもある立場から、課題や意見を出していただきたいと思います。
 
 小島 こういう時期に会長になられて大変だと察します。ただ考え方によって、やりがいのある時期だろうと思います。というのは農政が大きな転機に立っている中で、協同組合運動なり組合の経済事業のあり方を確立しなきゃいけないという責務を負われているからです。
 私は委員会の座長をやってみて消費者と消費者団体の「農」なり「食」に対する理解が、この数年間、非常に進んだとつくづく感じます。また「農」の中では加工、流通などの担当者も含めて、今までの生産や流通に対する反省というか危機意識が醸成されてきました。そういう一つの大きな環境変化を土台にぜひ新しい経済事業をつくっていただきたいと思います。
 全中が刷新委員会を設けたのは、まず第1にチキンフーズ問題などで揺らいだ信頼を回復する方策を第三者的に検証したいためだと私は考えています。
 2番目には、JA経済事業はどうあるべきかの検討があります。今までは信用事業や共済事業を稼ぎ手にし、経済事業はある程度赤字でも仕方がないというJA経営でしたが、経済事業としても採算をとらなくてはいけなくなってきたわけです。
 3番目には、経済性を確立するために今までの全農や各団体における経済事業の組織、運営をどうしたらよいかというような問題があります。
 いずれにしても、農協の商品や、チキンフーズ(株)に対する信頼回復という方策が急がれるため検討を始めて短期間でしたが、まず6月に第1段階の中間報告を出しました。2、3番目のテーマは、それこそ構造転換ですけど、ガバナンスの問題なども含めて組織や経営のあり方を、秋以降に検討します。
 チキンフーズの不祥事は、いってみれば、表面的な現象だけの問題です。ここは、もっと深く基本的、構造的な問題を考えなくてはいけない大きなチャンスであり、そうしなければならない必然性も持っています。

◆付加価値の大きい加工などに着目を

梶井 功氏
かじい・いそし 大正15年新潟県生まれ。昭和25年東京大学農学部卒。39年鹿児島大学農学部助教授、42年同大学教授、46年東京農工大学教授、平成2年定年退官、7年東京農工大学学長。14年東京農工大名誉教授。著書に『梶井功著作集』(筑波書房)など。

 梶井 経済事業とくに販売事業について、全農は法務コンプライアンス(法令順守)室の設置とか安心システムの構築など、信頼確保にの取り組みを始めましたが・・・・。

 木下 ええ。食品安全管理室というのも8月1日に立ち上げました。そして、専務、食品取扱部門の担当常務、食品関係の室部長などで構成する「食品安全管理委員会」を設置し、徹底的に安全管理を進めていきます。
 もう一つ、全農の関連会社は約250社ありますが、その事業内容を精査し、3年くらいのうちに約半数に統合し、しっかり管理できるような体制づくりをやります。また外部からも役員や監事を入れます。
 
 梶井 小島さんは構造的な問題をいわれましたが、とくに、どんな点を問題とされますか。
 
 小島 経済事業の環境が大きく変化しており、その一つに消費者の態度の変化があり、安全・安心への関心が非常に高くなっています。生産者の態度も変わってきて、生産・流通の動向が大きく変化しています。
 日本農業は素材生産が中心ですけど、そのため経済事業は2次3次加工や流通サービスへの関心が弱かった。ところが付加価値は、そちらのほうが高い。そこを見落としているから、なかなかうまくいかなかった。こうした問題にどう対応していくかが構造的な大きな課題です。
 それから販売事業は米依存型でした。収益は米だけ。あとの生産物はほとんどが事業収益の段階で赤字を続けた。購買も黒字はLPGだけの状況です。
 考えてみると、これだけ全国的なネットワーク、しかも優秀な得意先を持ち、消費者サービスの可能性も持っているJAグループ経済事業がマイナスというのは何故なのか。やり方が悪いのか、経営統治のあり方が問題なのか。あるいは変化に対応する経営の決断が遅かったのか。これは、まさしく構造的な問題ではないでしょうか。
 それから関連会社ですが、経済が成長してシェアが伸びる段階では子会社を増やして対応するのはいいのですけれど経済停滞のもとでは、会長がおっしゃるように、これを統合し効率化することが必要です。問題はそのスピードです。

◆とにかく低い経済事業のマージン

梶井氏・木下氏・小島氏

 梶井 農畜産物は加工された食品として食卓にのぼる形が多くなった。その食品を製造する人たちの食べ物を作っているんだという意識や倫理観に少し弱い点があったのではないかと思いますが、どうですか。

 小島 必ずしもそうは思えませんが。

 梶井 雪印食品問題が起きた時に、たまたま北海道大学に外部評価でいきまして、雪印には北大農学部出身がかなりいて製造工程を担っている人もいるなどと話題になりました。そこで私は北大では技術者倫理の講義はやっていないのかと聞いたところ「ない」とのことでした。いや、実はね。東京農工大にも東大にもそういう講義はないのですよ。この点では欠けてます。

 小島 確かにそうですね。食品以外の生産財、消費財でも全体に欠けています。しかし食品については会長がいわれたように教育にも、また社会の基礎構造にも関連しますから、その製造には特別の企業倫理や規範を持っていなくてはいけません。 素材生産者側にも問題があります。素材を売っちゃえば、あとはトレースしない。だから川下のほうを監視できるシステムを持つ必要がある。20年以上前までは工業も農業も生産者のほうが強かった。価格にしたって生産者の言い分に市場もだいたいついてきた。今はそうではなくなりましたからね。

 梶井 JAの決算を見ると経済事業部門損益はだいたい黒字です。それが共通管理部門や指導部門のコストを入れると赤字になる形ですね。

 小島 いや事業収益の段階ではなく純損益費の段階でみなければ、本当の姿は分かりません。

 梶井 そうですが、共通管理部門の振り分け方を見直せば違った面が出てくる。検討すべき課題でしょう。会計原則を作ったのは随分昔でしょう。

 小島 問題は経費配分方法以前の問題なんです。

木下氏

 木下 あのね。10年近く前は長野県のJA生活店舗はどこも赤字で、県全体で約48億円にものぼり、どうにもならなかった。そこで何としてもメスを入れなくてはと経済連も本気になって、その結果、運営を経済連に一任し、JAはそれに協力することになりました。
 店舗面積その他の基準を定め、あんまりみすぼらしい店舗は別にして、レギュラー店舗のチェーン運営をスタートさせ、やっと平成13年度には、ほとんどの店舗を黒字にしました。
 以前は地元密着ということで店員採用も、仕入れも、すべては地元優先でした。それ自体はいいことなんですが、それでは人情に縛られたりして、どうにも改革ができないのですよ。
 ところがレギュラーチェーン制では、店長は仕入れは厳しいし、店員も評価が悪いと交代させます。そういった経営刷新で今は赤字店舗はごくわずかになり、来年3月期決算は全店が黒字になる見通しです。どうもね、農協経営には人情の入ることが多くて微妙なんですよ。

 小島 そうですね。例えばスーパーは百貨店に比べ口銭率が非常に低いというけれど、それでも2割位はとっています。それに比べJAの購買事業の口銭率は数%です。販売事業だってそうです。
 JAを高く評価する農家や組合はたくさんあります。園芸とか果樹の生産組合とかね。ところが、販売や集荷の代行などをして、JAがもらっている口銭率はと聞くと1%だという。集金リスクだとか市場調査コストなど考えると、これではやれっこありませんよ。

 梶井 とにかく経済事業のマージンは低いんです。

 木下 ただね。信用事業と共済事業がよかったからやれたんです。しかし経済事業のほうとしては、確かにこちらは赤字だが、営農指導があり、生産があってこそ貯金も掛金も集まるんだという意識でした。

◆安全・安心に加えて「安定」も大きな柱

木下氏

 梶井 販売事業の中で、とくに米ですが、生産調整研究会の中間とりまとめの中で、系統の共販のやり方に批判が出ています。これからの米事業のあり方についていかがですか。
 
 木下 私は、これは根本的にね、原点に返ってもらわないといけないと思う。どうのこうのと議論しているけれど、自由化を推し進めるという流れの中にありますからね。これじゃいけない。
 先ほど申し上げたとおり、国が米に責任を持たないとなったら、これは大変危険です。そんなことになったら、国内だけでなく、よその国にも大変な波紋を起こしてしまいます。
 米だけは安全・安心・安定という、この3つのことは、生産者にも消費者にも必要なことです。主食ですから。
 そうしないと足が地に付かないのですよ、日本人は。とくに今の日本には安定感がなくなってきている。リストラで、いつクビになるか、仕事がこなくなるかとびくついたりもしています。また大きな犯罪も次々に起こっています。平成5年の不作の時の大騒ぎを思い起こすべきです。米だけでなく、全体に食べるものをある程度キープしておけばね。そりゃ経済のほうも安定するんですよ。
 ある国会議員がこんなことをいっていました。「農産物の価格が安いとか何とか文句をいっていないで、アメリカやオーストラリアには広い土地があるのだから、農協が出かけていって、あっちでどんどん米を作って売ればよいじゃないか」と。私はあきれ果てて、こんな先生に例えば地産地消の説明などをしてもわからないだろう、何をいっても無駄だと思い「ああそうですか」と。
 安定感ということでは、今の若い者が年寄りになるころには年金がもらえなくなる恐れがあります。少子化でね。そうすると、これからの年寄りはふらふらしてしまって悪い問題が増えるのではないでしょうか。

 梶井 今度の中間とりまとめの大きな特徴として、米の主食としての評価をなくしたことが一つ挙げられます。ほかの食品と同列に並ぶ食品でしかないのです。そんな感覚でお米を取り扱おうとしている点が非常に気になります。

 木下 外国でも米を主食にしている国は、米を大切に扱っているのでしょう?ましてや日本では2000年以上も昔からの主食ですからね。

 梶井 それから日本では、減ったといわれながらも、まだ摂取カロリーの中の29%を米だけで占めています。単品で。ほかにそんな食物はないのです。その事実に目をつむって、米だけを主食として特別に扱う必要はないという感覚が非常に気がかりです。

 木下 日本の自然から授かった長い間の主食である米を、そんなに、おろそかに扱っちゃ報恩感謝の念なんて湧いてこなくなる。それでは親の恩とか恩師の恩に感謝する気持ちもなくなり、道徳心も失われます。

◆系統の共販体制工夫、手直しが必要

小島氏

 梶井 中間とりまとめでは、系統の共販体制は、精算に2年もかかり、市場情報が早く的確に生産者に返っていかないことにもなっているし、農家のほうも農協に渡してしまえば、それで売れたと思い込む、そんなやり方は問題じゃないかと提起していますが、どうですか。

 木下 それは今、JAグループ全体で組織討議を進めており9月には、その結果を取りまとめて政策提案します。それから提案実現に向け、総力を挙げて運動を展開します。

 梶井 基本的な方向は、あれでいいとは私などは思いませんが、しかし農協関係者の口からも容認論が時々出てきます。

 木下 いえ、私としては、中間とりまとめの基本的な方向は間違っていると思います。

 梶井 戦前の自由取引の時代には出来秋の米価は暴落と相場が決まっていました。そこで産業組合は、出来秋の集中販売を避ける年間の平均売りを目ざしました。今の共販も年間売りによる価格安定をねらっていますから、これは基本的に余り崩さないほうがよいと思います。しかし共販のやり方にはいろいろ工夫や手直しが必要でしよう。

 木下 供給と価格の安定については、今度の雪印などとの牛乳統合会社設立も同じねらいです。生乳生産は地域によって、稲作地帯の米生産と同じ比重を持っているから、全農として、おカネはいるけど一つがんばろうと新会社を発足させました。

 梶井 食の安全・安心・安定の一環ですね。ところで、JAの購買事業は担い手への配慮が弱すぎるといわれますが。

 木下 それは3年前から、担い手や法人に個別に対応しています。たとえば、肥料ではアラジン肥料で10トン満車による大規模農家直送条件を活用すれば、国産同等品の高度化成肥料に較べ概ね30%有利な価格を実現しています。それから地域や県域の枠を取り払う全国視野の広域的な物流改革も着実に進んでいます。

 梶井 配送コストの差など合理的な根拠による大口需要者への割引は実施すべきですが、それを小口需要者は納得してくれますか。

 木下 それはもう、わかってくれるようになりました。以前は1袋買おうが100袋買おうが1組合員としては同じではないかなどといっていましたが。

 小島 購買事業ではJAが持っている大きなバイイングパワーが発揮されていなかったのではないかとの疑問を感じます。スーパーやナショナルチェーンのバイイングパワーはもの凄く強いけれど、JAの全国ネットにも、それに対抗できる力があるはずです。販売事業でも生産者とスーパーが個別の取引をしたりして、本来の全国的な力を発揮していません。

◆経営管理委員会は員外からも就任

梶井氏

 梶井 新しく発足した経営管理委員会はいかがですか。

 木下 いい制度だと思います。きちっと運営していきます。

 小島 これは米国の会社で執行役員会が強くなりすぎて、社長たちが株主のほうを向かないで勝手なことをやるということで考えられた方策です。会社は株主のもの、その利益を代表するのが経営管理委員会だというわけで、経営管理委員会が執行役員に仕事をさせます。
 しかし日本の協同組合は逆で株主のほうが強かった。理事会が学経中心の常勤理事にいかに機動的な仕事をさせるかといった機能が今までなかった。新しい組織で、それができるようになればよいと思います。
 ただ私の個人的な考えでは、経営管理委員会というのは本来的にもう少し人数が少なくなきゃいけない。そうでないと動きが鈍くなります。

 木下 はじめて導入するわけですが、皆さんに十分にご理解・ご協力いただく必要もあり各ブロックそして員外からも経営役員に就任いただきました。
 難題は山積していますが、会長としてしっかり取り組んでいきたい。

鼎談を終えて

 JAはいま、大変な難局にある。トップの楫取り如何が大きく問われること、いうまでもない。全国連、それもいま一番難しい経済事業を束ねる全農ともなれば、とくにそうである。
 農政も大転換期にあるが、米政策や自給率問題、また株式会社参入拡大問題など、構造改革内閣の政策方向には、農業関係者に不安をもたせる要素がたくさんある。全国連トップの楫取りがことさらに重要になっているが、自給率は「このままではさがる一方で、もはや独立国とはいえなくなる。政治家や政府は何を考えているのか」と問題にされる木下全農新会長である。その楫取りは信頼していいだろう。期待していたい。
 組織の管理体制も変わった。このてい談の当日は経営管理委員会の日だったが、委員会終了は予定時刻を大幅に超えた。第1回ということでもあったからかもしれないが、新しいガバナンスの体制にまだ習熟していない、ということも関係しているのではないか。その方面に深い経験をもつ小島さんが「毎月株主総会をやっているようなもん」では問題、と指摘されている。新しいガバナンス体制を早急に固めることで本来的には強いバイイングパワーなりセリングパワーを、それとして発揮してほしい。(梶井)


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