開会のあいさつでJA高齢者福祉ネットワークの菅原章夫会長(JA宮城中央会会長)は「少子高齢化社会のなかで地域住民の願いである“住み慣れた地域で安心して暮らしたい”を実現するためには公的サービスだけでは困難で、地域コミュニティの再生・再編が大きなカギを握る」と地域で活動する助けあい組織の重要性を述べ、集会が新たな出発点となることを期待した。
集会では地域で助けあい活動に取り組んでいる団体の代表やJAからの報告のほか、JA健康寿命100歳プロジェクトの食事分野の実践と発展を目的に実施した「あなたに届けるJA健康寿命100歳弁当」コンテストの表彰式、このコンテストのきっかけとなった食文化史研究家・西武文理大学客員教授の永山久夫氏による記念講演「幸せと達者の自給率を高めよう〜地域でつくる100歳弁当〜」などがあった。
◆2025年の姿を想定して
1日目に「安心できる地域づくりに果たすJAグループの役割」として、JAグループ助けあい組織の現状を報告したJA全中くらしの活動推進部・今井準幸高齢者対策課長は、今後の超高齢化社会に向けた助けあい組織の方向性を示した。
そのなかで団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて厚労省が昨年3月に取りまとめた「地域包括ケア研究会報告書」を取り上げ、そこで“住み慣れた地域で生活が継続できるくらしのあり方”が提示されていることを説明。そのうえで、今後ますます地域のニーズに合った活動の展開が求められるとし、JAとして元気高齢者の介護予防から介護支援まで、助けあい組織と連携した取り組みが必要になるとした。
また、准組合員が増加していることからも地域住民と接点を持ったJA支持層の発掘や、報告書には介護予防活動の強化も触れられている点から「JA健康寿命100歳プロジェクト」の展開の継続も大事だとして「2025年の姿を含め地域のニーズに沿った活動を探っていってほしい」と述べた。
◆震災で感じた共助の力
その後、宮城県仙台市で平成18年にボランティアセンターを設立し、助けあい活動を行ってきた(公)さわやか福祉財団インストラクター地域生活支援オレンジねっと代表の荒川陽子氏がこれまでの取り組みについて講演した。
生活支援活動や地域の交流の場をつくりたいと平成22年に設置した「みんなの茶の間ときめきカフェ」での活動、東日本大震災後の体験から新たに見えた助けあい活動の重要性などを語った。
震災後の避難所でわかったことは、リーダーとなる人がいないことや高齢化した町内会は動けないこと、要介護者を見る人がいないこと、行政は現場を知らず想定外には対応できないといったことだという。そこで感じたのは多様化した生活をサポートできるのは「共助の力」だということ。
「自治体がバラバラの中で住民同士のつながりが常にある共同体で生活を営む人たちの助けあい体制はすばらしい。団結力で早期に復帰する意欲と期待を持っている」と語った。
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またJAさが(佐賀県)江北支所の助け合い組織「すいれんの会」会長の赤坂喜佐江氏が平成10年の組織発足から現在活動の中心となっている365日の配食サービス、週5日のデイサービス活動に至るまでのあゆみを報告した。
2日目にはJAそうま(福島県)生活福祉部生活課の大塚悦子氏が「復興に活かす JA健康寿命100歳プロジェクト」をテーマに講演したほか、JAみなみ信州歯科診療所の木森久人院長が「地域における歯科口腔ケア〜口のきれいを全国に〜」について、JA山口県厚生連の西山幸雄代表理事専務が「成果をあげるJA健康寿命100歳プロジェクトの取り組み」について講演。最後にJA健康寿命100歳宣言を採択した。
「あなたに届けるJA健康寿命100歳弁当」コンテスト受賞者は次の通り。
【すばらしいで賞】
▽「おらほの食で長生き弁当」大迫あねっこの会・JAいわて花巻(岩手)
【食べてみたいで賞】
▽「スピード色彩ベントウ」JAあづみくらしの助け合いネットワークあんしん広場・JAあづみ(長野)
▽「季節の和風弁当」天竜女性部潮尻地区なずな工房・JA遠州中央(静岡)
【がんばったで賞】
▽「大曲花火弁当」JA秋田おばこ内小友農産加工部会・JA秋田おばこ(秋田)
▽「3色豆ごはんと野菜でたっぷり弁当」JAたむら夕鶴会・JAたむら(福島)
▽「元気満彩弁当」JAしらかわふれあいグループ・JAしらかわ(福島)
▽「いわき彩菜弁当」JAいわき市女性部・JAいわき市(福島)
▽「田舎弁当」JAいなべ助け合い組織「ほほえみの会」・JAいなべ(三重)
▽「お守り弁当」健康グループ・JAくにびき(島根)
▽「元気弁当」JAさがみどり地区江北支所助け合い組織「すいれんの会」・JAさが(佐賀)
▽「ヘルシーアラフォー弁当!!」JA阿蘇小国郷中央支所女性部料理好きもんグループ・JA阿蘇(熊本)
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JA健康寿命100歳宣言
私たちJAグループは、組合員、地域住民および関係機関のみなさんとともに、「JA健康寿命100歳プロジェクト」により、新たな協同を創造し、健康寿命の創造と活力ある地域づくりを目指します。
1.自分の足で前へ進み、出会いの機会を与えるウオーキングで、健やかな心身をつくります。
2.「5色を食べて達者が一番」 米を中心に旬の地場産食材をバランスよく食べます。
3.口は生きる力を育む食の入り口です。毎日の口腔ケアで健康管理に取り組みます。
4.「人とのつながり―絆―」を大切に、助けあいのある地域を創造します。
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