気候変動を活用した栽培など新たな研究課題6つを選定 農林水産省2015年7月30日
農林水産省は「委託プロジェクト研究(気候変動対応関連)の推進方針中間取りまとめ」で6つの課題を選定し、7月27日に公表した。このプロジェクトは、研究開発と、資源や長期的視点が必要な開発のための資金制度だ。気候変動によって変わっていく農業生態系などを長期的視野に立って、生産現場に役立てていく。
このプロジェクトは今後100年を見通した気候変動のもたらす分析と、農林水産業の影響評価情報を、生産現場で気候変動に効果的に役立てるよう、時期別・地域別にわかりやすく提供していくために設けたもの。適応技術では50年を見通して前倒しで対応できるようにした。
具体的には、▽温暖化の被害を軽減するための適応技術、▽極端な気象現象の災害を減らす技術、▽気候変動がもたらす機会の利用のための技術などで国土の保全を図っていくとしている。
今回選定された課題は6つあり、内容は次の通り。
(1)現在進行しているプロジェクトで影響評価が十分ではない人工林、農業生態系、野生鳥獣、気候変動がもたらす機会に関する影響評価の根本的強化。
(2)害虫の国内飛来・定着初期の段階で防除する技術開発と、長距離移動する害虫の分布拡大予測システムの開発を行い、生産者へ情報提供をする。
(3)近年、豪雨などによる山地災害の被害が多いため、森林の防災・減災機能を活用した森林管理手法の開発。また花粉発生対策や気候変動に対応した人工林の管理技術の開発。
(4)シャットネラ赤潮の約80億円の被害をうけた研究は行われているが、海水温の変化により、シャットネラ以外での被害の多様化が懸念されている。よって今後は様々な有害微生物に対応できる予測技術も開発していく。
(5)野生鳥獣の農作物被害額は年間200億円前後で森林被害は25年度に約9000ha、その他にも被害が起こっている。気候変動により野生鳥獣の生育域拡大が懸念され、今後は環境変化による野生鳥獣の影響評価や被害対策技術の高度化に努める。
(6)気候変動の影響の研究だけでなく、気候変動を有用に産地で利用できるよう新規作目などの研究を進める。
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