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新生JAのモデルを 農地情報は改革の財産 東京農大でシンポ2015年11月9日

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 東京農大総合研究所研究会は11月6日、東京の同大学世田谷キャンパスで、農協法改正・第27回JA全国大会決議を踏まえたシンポジウムを開いた。全国のJA常勤役員を中心に約80人が参加し、5つの報告をもとに意見交換した。

JAの営農経済事業で意見交換するシンポジウム シンポジウムは同研究会農業協同組合研究部会とGIS(地理情報システム)研究部会の共催。農協部会長の白石正彦・東京農大名誉教授が「農協の多様な組合員参加を基盤とした営農経済事業・農村生活インフラ事業を先導する新生農協の展望]で報告した。
 同教授は、今日の総合JAを、「高度な事業機能を担う広域合併農協と、保管組織としての統合連合組織の二段階システムへの転換期」と分析。その上で、営農経済・生活福祉事業、生活文化活動を軸に信用・共済事業、販売、組合員の組織化などに取り組んでいるさまざまなJAを4つのタイプに分類し、「それぞれの流れを融合して、さらに新たなモデルを構築することが課題だ」と指摘した。
 また、GIS部会長の鈴木充夫・東京農大教授は「地域農業基盤強化のための事業GISを活用した営農指導事業改革」で報告。このなかで「誰が耕し、何を作り、連作作物は何かなどの広域的農地管理情報は、将来の農協の財産になる」と、地理情報の重要性を強調した。
 特にGISは、これからの法人経営対策に必要になるものだが、この分野では大手のIT企業が先行している。このため「農協は情報を提供するだけで、主導権は、大手小売店や大手コメ卸や、それと結んだIT企業に握られる恐れがある」と警告する。
 実践事例は、熊本県のJA菊池、千葉県のJAいちかわの事例を報告した。熊本県JAグループ(経済連)は、2008年に農産物コントロールセンターをつくり、JAの枠にこだわらない青果物の集出荷、卸市場への分荷を行っている。
 この成果は県全体の農畜産物販売額の向上をもたらし、JA菊池の販売額も右肩上がりとなっている。同JAは農業の振興で、小規模、中規模、大規模、集落営農と、それぞれの形態に合せて営農指導を行っている
 小規模にはJAの子会社が農作業の受委託を行い、中規模には畜産コントラクターで対応、大規模農家には生産資材の利用で奨励金を出すなどの支援を行っている。「農協と一心同体だということを目に見えるかたちで示すことが大事だ」と、同JA三角修組合長はいう。
 また、都市農協であるJAいちかわは、一般廃棄物として処理していた梨の剪定枝を集めてバイオマス発電燃料にするなど、環境や周辺住人に配慮した事業を起こしたり、減化学農薬の使用を推進したりしている。
 都市部にありながら、同JAは、県でも有数の梨の産地で、地域ブランドによる販売・PRにも積極的。「市川のナシ」「船橋にんじん」「船橋のなし」のブランドで東京都内や、大井競馬場などで試食・宣伝を行っている。
 製パン会社や商工会議所と連携した6次産業化や梨を中心とした海外輸出にも取り組んでいる。同JA小泉勉組合長は「都市のなかでも、特徴あることを、これからも地道にやっていく」という。
 報告の後の討論では、JA出資法人の役割や収益性、GISの費用対効果、都市農業の相続税対策など、営農経済事業に関することのほか、准組合員対策、消費者の理解を得る方策などが焦点になった。
(写真)JAの営農経済事業で意見交換するシンポジウム

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