【2016 年頭所感】河野 良雄 氏(農林中央金庫 代表理事理事長)2016年1月1日
平成28年の年始にあたり、JAグループから農業協同組合新聞・JAcomに寄せられた年頭のごあいさつを紹介します。
謹んで新年のご挨拶を申しあげます。
平素は、当金庫およびJAバンク業務に格別のご支援・ご協力をいただきまして、厚く御礼申しあげます。
昨年は、農林水産業や農漁協の今後のあり方に重要な影響を及ぼす出来事が数多くありました。農協制度改革の議論を経て農協法等改正法案が昨年8月に成立し、本年4月から施行されることとなりました。また、TPPについても、昨年10月に大筋合意がなされ、農林水産業の現場から不安の声が聞かれています。
また、国際的な金融規制について厳格化の議論が継続しているほか、国内においても、地域金融機関の競争激化、ゆうちょ銀行の預入限度額引き上げの動きなど、先行きが不透明な状況にあります。
こうしたなか、平成27年は、現行中期経営計画の最終年度として、各種の施策に取り組んでまいりました。
まず、JAバンク自己改革の取組みです。農業者の所得増大と持続可能な農業経営の実現を目指して総合的な支援を実施する「農業所得増大・地域活性化応援プログラム」については、規模拡大を企図する農業者への農機具リース料の助成、担い手経営体向けの経営相談機能の強化、新規就農応援事業の拡充などの具体的なメニューが揃い、実践する段階に移りました。また、JAが営農経済事業に全力投球できる環境整備としまして、オンラインキャッシャ等の導入による店舗事務合理化の実務検討を進めるとともに、農業と地域をつなぐ取組みとしまして国産農産物の消費拡大につながる金融商品の取扱いを拡大する全国運動「JAバンク 農とあゆむプロジェクト」の開始を決めたところです。
つぎに被災地復興への取組みです。支援総額300億円の復興支援プログラムに基づき、金融・非金融の両面から各種支援を継続してまいりました。昨年8月に改めて被災地を視察してまいりましたが、復興が着実に進捗している地域もある一方、見通しが立たない地域もある等、いまだ道半ばの状況であることを実感いたしました。引き続き被災地に寄り添いながら、復興ステージに即した支援に取り組んでいきたいと考えております。
また、昨年12月には次期JAバンク中期戦略を策定・公表いたしました。「食と農、地域社会へ貢献することにより、地域で一層必要とされる存在へ」を目指す姿に掲げ、日本農業のメインバンクとしての役割発揮、農業と地域をつなぐ取組み、地域の生活を支える金融サービスの提供、お客様からのさらなる信頼の獲得を目指してまいります。
農協法の改正やTPP大筋合意等の環境変化は、当金庫のみならず系統全体ひいては日本の第一次産業全体にとっての危機と言えます。このような環境だからこそ、役職員一同で危機感を共有し、皆さまから安心・信頼される金融機関・組織を目指していくとともに、農林水産業に貢献する取組みを進めてまいる所存です。
皆さま方の、より一層のご理解・ご協力をお願い申しあげるとともに、今年一年のご健勝とご繁栄をお祈り申しあげ、新年のご挨拶とさせていただきます。
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