ハダニ類が九州から南関東で発生と予想2018年2月15日
・病害虫予報第10号を発表
農林水産省は2月14日、「平成29年度病害虫予報第10号」をまとめ、向こう1か月の主要な病害虫の発生予察情報を発表した。
気象庁の向こう1か月の予報では、気温は北日本で低く、東日本で平年並みか低く、沖縄・奄美で平年並みか高くなると予想。降水量は北・東日本の日本海側で多く、東日本太平洋側および西日本で平年並みか多くなると予想している。
降雪量については、北・東日本の日本海側で多く、西日本の日本海側で平年並みか多くなる。
日照時間は沖縄・奄美で平年並みか多く、東日本太平洋側および西日本で平年並みか少なく、北・東日本日本海側で少なくなると予想している。
◎水稲
いもち病、もみ枯細菌病、ばか苗病などの種子伝染性病害の発生が多かった地域では、種子消毒を的確に実施し、健全な種子を使用した育苗に努めるよう求めた。特に、いもち病では、一部の薬剤に対して耐性菌が発生していることから、都道府県から提供される発生予察情報(以下、発生予察情報)などを参考に効果的な薬剤を選定し、種子消毒を実施してほしいとしている。
縞葉枯病は、ヒメトビウンガによって媒介されるウイルス病であることから、同虫を対象とした防除が必要となる。近年、発生量が増加傾向にある地域では、冬季期間中にイネ科雑草の除去および再生林(ひこばえ)のすき込みを行い、同虫の越冬量の抑制に努めること。
また近年、ヒメトビウンガによって媒介されるウイルスの保毒虫率が高まっている地域では、同虫に効果の高い育苗箱施用剤による防除の実施の検討を求めた。
◎野菜・花き
イチゴとトマトにおいて、ハダニ類と灰色カビ病の発生が南関東、東海、四国、九州の一部地域で多くなると予想。
すでに1月以降、愛媛県、佐賀県、長崎県、大分県で注意報が発表されている。今後、気温の上昇とともに増加する傾向にあり、発生密度が高くなってからでは防除が困難になるため、ほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期の防除が必要だとしている。
なお、これらの微小害虫は、薬剤感受性の低下が懸念されるので、発生予察情報を参考に、同一系統の農薬使用を避けるとともに、化学合成農薬だけではない、各種の手段を組み合わせた防除の実施が必要になるとした。
灰色かび病については、気温20度前後で発生が拡大しやすく、多湿条件下で発病が助長されることから、換気などによる施設内の湿度低下に努めること、特に朝夕の急激な冷え込みにより結露が生じると同病をより助長するため、注意が必要。また伝染源となる罹病部は除去するとともに、一部の薬剤に対して耐性菌が発生していることから、こちらも発生予察情報を
参考に選定・防除を実施するように求めている。
トマトについては、灰色かび病の発生が東海の一部で多くなる、北関東および南九州の一部でやや多くなると予想。2月には宮崎県から注意報が発表されている。イチゴと同様の防除の実施を求めている。
◎果樹共通
果樹では、翌春の病害虫防除を効率的かつ効果的に実施するため、病害虫の越冬量を低下させ、翌春の病害虫発生の抑制を図ることが重要。病害対策として、翌春の一次伝染源となる被害落葉や罹病部の除去を実施すること。また虫害対策として、ハダニ類およびガイガラムシ類の発生が多かった園地では、粗皮削りやマシン油散布による防除実施を求めている。
特に積雪などにより、枝が折れるなどの損傷をした樹体は、病害虫が侵入しやすくなっているので、傷口に薬剤を散布するなどの処置を適切に行うことが必要だとした。
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