82%が生産ノウハウ管理せず2018年3月19日
・農業技術の知財認識調査で
農林水産省はこのほど農業現場でのノウハウなどの知的財産管理の実態を把握するアンケート調査を実施し、その結果を発表した。また、その結果にもとづき、知財の価値や重要性を農業者など関係者に広く普及・啓発するパンフレットを作成した。
調査は昨年7月から8月にかけて行われ、アンケートの対象は、個人農業者と農業法人の二つ。個人では郵送方式で有効回答数は277件。農業法人は電子メール方式で有効回答数は29件だった。
(画像)どのようなものをノウハウとして認識しているか
農業者が保有する生産技術やノウハウなどは、わが国の高品質な農林水産物の生産を支える重要な知的財産であり、今後、農林水産物の競争力強化にあたり、その重要性は一層高まっている。
しかし、これまで農業の生産技術やノウハウなどについては「知的財産としての価値」の認識が十分ではなかった。このままでは、貴重なノウハウなどが流出し、わが国の強みを失うことが懸念される。アンケートは、こうした危機意識を背景に行われた。
それによると、農林水産物の生産方法に関しては、多くの農業者が「他人に知られたくないノウハウを有している」と回答、特に「土づくりの手法」で29%、「施肥の手法」で26%が多くを占めた。また保有するノウハウをどの範囲まで共有しているか、との問いには「地域内農業者に教えている」が47%と圧倒的に多く、地域単位でのノウハウ共有の実態が浮かんだ。
(写真)農業生産ノウハウの知財認識を高めるための普及啓発ポスター
(画像)どの範囲までノウハウを共有しているか
さらに「ノウハウ」が財産的価値を有する可能性があることを認識しているかとの問いに対しては「認識していない」の54%が「認識している」の41%を13ポイント上回り、農業者の知財認識度の低さがうかがえた。一方、ノウハウを管理しているかの質問では82%が「管理していない」と回答、同省の危機感を裏付ける格好となった。
(画像)ノウハウが財産的価値を有する可能性があることを認識しているか(左)
ノウハウを管理しているか(右)
調査の詳細やポスターの中身などの詳細は農業分野における生産技術・ノウハウ等の知的財産としての管理に関するアンケート調査の結果及び普及啓発用パンフレットの作成等についてからみることができる。
○問い合わせ:同省食料産業局知的財産課
○TEL:03-6744-0234まで
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