地域生協の2017年度は増収減益 日本生協連通常総会2018年6月18日
日本生協連は6月15日に都内で第68回通常総会を開催し、2017年度事業報告と決算、2018年度事業計画と予算など6つの議案を決定。また、15年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の一端を担うとして「コープSDGs行動宣言」を採択した。
2017年度の主要65地域生協の供給高は2兆6428億円(前年比101.0%)だった。その内訳は、宅配事業は1兆6567億円(同101.2%)でそのうち個配が1兆1481億円(同102.6%)だった。一方、店舗事業は9249億円(同100.3%)で、宅配・店舗事業ともに伸長した。
しかし、経常剰余金は444億8900万円(経常剰余率1.62%)と前年度対比で89.3%、剰余率▲0.21ポイントと、2年連続のマイナスとなり、増収減益という結果となった。
(写真)総会後記者会見する、(左から)嶋田裕之専務、本田英一会長、和田寿昭専務
経常剰余金についてみると、剰余金率が宅配事業は16年度と同じ3.5%だが、店舗事業は▲1.7%となり、全体の剰余金率を引き下げている。これは店舗事業では店舗改装経費や冷蔵庫のフロン対応のための切替など経費がかかったためだと嶋田裕之専務は記者会見で説明した。
また、組合員数は前年比101.8%の2144万人となり、世帯加入率は37.2%となっている。なお、世帯加入率が50%を超えているのは宮城県・新潟県・兵庫県・北海道・福井県、45%超は宮崎県・奈良県・香川県・岩手県・京都府となっている。
現在、全国の生協は「2020年ビジョン」の重点課題として
重点課題1:安心してくらせる地域社会づくりへの参加、
重点課題2:商品力の強化を通じた組合員のくらしと生協の経営への貢献、
重点課題3:生協の未来を担う人材の確保と育成
に取組んでいるが「重点課題1」では「ふだんのくらしを支えるインフラとして、地域社会に貢献」する活動として、「移動販売車」が27道府県の33生協で188台が稼動しており、17年1月時点の155台から着実に取組みが増えていることが報告された。また「配食事業」も44都道府県48生協で取組まれ、1日当たり13万6000食を供給している(前回調査の16年6月時点では12万5000食だった)という。
「重点課題2」ではコープ商品ブランドの刷新や健康に関わるコープ商品強化、アレルギー対応商品の開発や環境・地域・社会・人に配慮した「エシカル消費」対応商品づくりが進み、組合員供給価格ベースで前年比105.6%の923億円と大幅に伸長し、今後も拡大していくとしている。
また環境・エネルギーへの取組みとして、温室効果ガス削減、再生可能エネルギー発電、組合員向けの電気小売事業の拡大にも取り組み、一定の成果を収めているという。
◆「コープSDGs行動宣言」を採択
総会では、「SDGsは誰一人取り残さない社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に総合的に取組むもので、協同組合の理念と大きく重なり合っている」として、次のような内容の「コープSDGs行動宣言」を採択した。日本生協連は1997年に生協の21世紀理念「自立した市民の協同の力で人間らしいくらしの創造と持続可能な社会の実現」を掲げ、さまざまな取り組みを行ってきたが、この宣言はそうした取り組みをさらに加速させるためにまとめたという。
【「宣言」:SDGsを実現するための7つの取り組み】
○持続可能な生産と消費のために、商品とくらしのあり方を見直していきます
○地球温暖化対策を推進し、再生可能エネルギーを利用・普及します
○世界から飢餓や貧困をなくし、子どもたちを支援する活動を推進します
○核兵器廃絶と世界平和の実現をめざす活動を推進します
○ジェンダー平等(男女平等)と多様な人々が共生できる社会づくりを推進します
○誰もが安心してくらし続けられる地域社会づくりに参加します
○健康づくりの取り組みを広げ、福祉事業・助け合い活動を進めます
(関連記事)
・宅配は37か月連続前年超、店舗は前年割れ(18.05.23)
・宅配は36か月前年超、店舗は一歩届かず(18.04.23)
・東京大学と連携 日本生協連が健康チェックシステム構築(18.03.13)
・生協の「地域見守り協定」締結1022市区町村に 日本生協連(17.10.13)
・生協の総事業高2兆8234億円 2016年度生協の経営統計(17.09.21)
・購買事業と相乗効果 主体者として地域に関与【若森資朗・パルシステム生活協同組合連合会・元理事長(現顧問)】(17.09.11)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日