あぜ道の植栽作業を省略化「シバ二重ネット工法」 農研機構2015年9月9日
農研機構は9月7日、傾斜のあるあぜ道の管理を簡単にするための「シバ二重ネット工法」の開発を公表した。
老齢化の進む地域で、あぜ道の管理が課題となっていた。背の高い雑草が生えやすいため、シバで覆い草刈りしやすくする手法を行っていたが、従来のシバの植え付けはポットで要請した苗を打ち込むポット苗工法などで、足場の確保や作業者の姿勢が問題だった。
今回開発されたシバ二重ネット工法では、ポット苗工法では10人程度必要だった作業者を、半分の5人程度に削減できる。作業も、あぜ道の上からロール状の二重ネットにシバのほぐし苗を挟んだものを展開し、そのうえから土を盛ることで済む。作業能率もポット苗工法に比べ、最大8倍向上する。これにより作業者の安全性や作業効率などが改善される。
シバの植栽手順は、4月に野焼きや除草剤による前の雑草の除去を行い、続いて5月頃に床土入れ、6月に二重ネットの展開と土盛りを行う。養成機関は2~3年。
二重ネット工法の資材は時間が立つと自然分解するものを使用しており、生態系を乱す心配はない。
農研機構はこのシバ二重ネット工法の技術実演会と畦畔管理技術情報セミナーを行う。概要は以下の通り。
◎日時:畦畔管理技術情報セミナーが10月29日13時~。技術実演会が10月30日10時~。
◎開催場所:畦畔管理技術情報セミナーは、東広島市市民文化センター(広島県東広島市)。技術講演会は、フォームおだ(広島県東広島市)。
◎セミナーの内容:
▽「農地資源保全と畦畔管理」新潟大学フェロー(元新潟大学 教授) 有田博之氏
▽「イブキジャコウソウによる畦畔の省力管理と農村景観の形成」岩手県農産物改良種苗センター 鈴木 馨氏
▽「セル苗と抑草剤・除草剤を使ったシバ畦畔の簡易造成法」日本植物調節剤研究協会 村岡哲郎氏
▽「二重ネット工法を用いた畦畔法面におけるシバ(Zoysia japonica)の植栽技術」近畿中国四国農業研究センター 伏見昭秀氏
▽「除草ロボットによる畦畔管理の取り組み」石川県農林総合研究センター 森本英嗣氏
▽「近中四農研における除草ロボットの開発」近畿中国四国農業研究センター 中元陽一氏
ほかに総合討論。
◎技術実演会の内容:二重ネット工法によるシバの植栽と除草ロボットの見学
詳細はホームページ。
<問い合わせ先>農研機構近畿中国四国農業研究センター 電話:084-923-4563
【注文に関して】
二重ネット工法に用いる二重ネット(シバ苗込)ロールの注文などに関しては、ゾイシアンジャパン(株)へ。電話:0847-82-2126 ホームページ
(写真)シバ二重ネットを利用する作業者、巻いた状態の二重ネットロール
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