気象変動に備えを 農水省が呼びかけ2016年3月18日
農水省は、今後の気象動向に対応した農作物等の被害防止のための技術指導を徹底するよう都道府県に呼び掛けている。特に暖冬に加え、春先の急な気温上昇が予想されることから、水稲の水不足、野菜の軟弱徒長、果樹の開花、茶の萌芽が早まり、凍霜害の発生防止に努める必要がある。
【水稲】水不足の懸念も
それによると、今年は北日本から西日本の日本海側にかけて少雪傾向だったため、広い範囲で春先の代かき用の水不足が心配される。このため農水省は2月に農業用水水源情報連絡チームを設置。融雪水に依存する地域では、事前に利水調整に関して、地域内の話し合いをすすめ、不足が見込まれる場合には番水や用排水の反復利用などを行い、農業用水の有効活用に努める。
【麦】排水対策徹底を
麦は、平年より降水量が多い見込みの地域が多いことや、春先は融雪水の停滞で湿害が発生しやすくなる。このため土壌の状況に留意し、排水路の詰まりなどの点検・補修、溝切りなどの排水対策を徹底する。
また暖冬で平年よりも生育が進んでいる地域が多く、今後も全国的に平均気温が高くなることが予想されることから、生育状況を把握し、生育ステージや生育量に応じて追肥する。
【野菜】早期発見で害虫防除
積雪地域における野菜の育苗床づくりは、日照、風向きなどの環境条件に十分考慮し、融雪促進剤を散布する。融雪が大幅に遅れる見込みのところでは、除雪し、適期育苗に努める。作付予定地では除雪・融雪を速やかに行い、湿害を防止する。
また、コナジラミ、アザミウマ、ハダニ類の発生が早まり大きな被害が懸念されるので早期発見、適期防除に努める。急な冷え込みや凍霜害が予想される場合は、必要に応じてトンネル、寒冷紗、不織布などで被害を防ぐ。
【果樹】樹体の損傷を確認
果樹は、積雪による枝折れなどを確認し、樹体の損傷の程度に応じてボルトなどで癒合や改植を検討する。損傷した樹体は病害虫の被害を受けやすいので、発生動向に留意し、適切な防除に努める。
開花の前進化が見込まれ、開花期から幼果期の降霜や急な低温による凍霜害が懸念されるので霜害警報に注意し、適時、防霜ファンや、固形燃料や灯油などを使う。
また凍霜害が予想される場合は、摘蕾・摘花を控えめにするとともに、被害を受けた場合は残存花への人工授粉を行い、結実の確保に努める。生育の遅れによる品種間の開花時期の不揃い、訪花昆虫の活動低下による授粉の不良が懸念されるので、摘蕾、摘花を控えめにする。
【茶】新芽の凍霜害に注意
茶は、高温が続くと萌芽が早まり、春先の低温による新芽の凍霜害が心配。防霜ファンなどの防霜施設を点検し、必要があればメンテナンスに努める。特にスプリンクラーを使った散水氷結法で防霜する場合は、途中で散水が止まらないよう、必要な水量を確保しておく。
昨年の初冬期の低温と、今後の高温で、一番茶の新芽の生育不揃い、新芽数の減少が懸念されるので、秋整枝しなかった茶園は、樹勢状態を観察しながら、適切な春整枝を行う。
施設栽培では、気温の上昇にともなってハウス内が高温になると、作物の生育が早まり、軟弱徒長になりやすい。必要に応じて換気するほか、窒素肥料、かん水を控えめにする。日中が晴天の場合は、放射冷却によって夜間の気温が下がりやすいので注意する。
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