JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

 ひろい読み グリビジネス   界の話題 2001      M・S 2000

 030 ケミカル・フリー農業の推進機構設置―フランス  029 下院は農業法を承認―米国
 028 PCS社が収益下方修正―カナダ・肥料会社  027 有機農業は近代農業と同様に環境に有害
 026 米国農業補助金 ホワイト・ハウスの意向で決定  025 カナダのIBR社が有機肥料の技術開発
 024 コオロギの大群が農産物に被害もたらす  023 北米自由貿易協定(NAFTA)は農家に利益なし
 022 中国のWTO加盟  021 口蹄疫で450万頭屠殺
 020 IMC燐鉱石マイン閉鎖  019 エネルギー政策
 018 カナダ農家の転作  017 米国で肥料価格補助の法案検討
 016 農業の環境への負荷は改善  015 カーギル社の第3四半期は減益
 014 デルモンテ食品(株)は増益(第3四半期)  013 アメリカの農家収入は10%減
 012 宇宙衛星から地球上の農地調査  011 米カーギル社が中国に肥料工場
 010 カナダ 小麦公社の販売額アップ  009 126才女性は化学肥料が嫌い
 008 米国、トラクターの販売好調  007 米国、小麦の輸出も植付け面積も減少
 006 カナダに有機肥料工場建設  005 カーギル社は利益174百万ドル上積み
 004 アメリカ経済の実態  003 遺伝子組み換え品種は慎重に販売
 002 ドメイン名「ドット・コープ」の登録を承認  001 アメリカ女性の就農者

030 ケミカル・フリー農業の推進機構設置―フランス

 フランスの農業省と環境省は有機農業推進のための新しい公益機関の設置を最近決めた。
 新組織は、有機農業開発推進機構と称し、フランス政府から人を出し4つの主だった有機農業グループが協働して目的の達成を目指すとしている。2005年までにフランス農地の5%はケミカル・フリー(農薬・化学肥料無し)の農業にすることを目標としている。現在フランスでは913,000エーカー(約365,000ヘクタール)が有機農業面積で9260軒の農家が有機農業に取り組んでいる。フランス農地の1.3%に相当する。新機構の目標は、250万エーカーを有機農業面積に、2万5000千軒の有機農業に従事する農家を目指そうとするもの。そうすれば2005年までにはフランス農業の5%が有機農業の目標が実現する。

029 下院は農業法を承認―米国―

 昨年夏、下院農業委員会が起草した農業法案を下院議会が10月5日投票により可決した。その法案の骨子は穀物、大豆、綿花の補助金として追加430億ドル(約5000億円)向こう10年間に支出する。自然保存の目的に165億ドル(約1800億円)の予算をつける。もし上記作物が目標価格を下回れば更に補填金を保証するというもの。
 この予算が実施されれば次の10年間は735億ドル(約8兆8000億円)の農業支出となり、現行農業予算945億ドル(約11兆円)に上乗せになる。農業法案支持者達は、穀物価格が低迷しているので4年後には補助金支出のための手続き法案を準備しなければならないというが、財政に危機感を抱く人達は農業予算だけで1700億ドル(約2兆円)に達し、ウイーク経済の中で国家税収が減少、9月11日のテロ攻撃による防衛費の増強が必要な時に非常識な浪費農業法案だという。更に下院承認の農業法は自然保存プログラムに37億ドル(約4400億円)を要求している。自然保存地域に3920万エーカー(約1600万ヘクタール)と草地保存に200万エーカー(約80万ヘクタール)を要求している。更に湿地帯に毎年15万エーカー(約6万ヘクタール)が追加されることになっている。現在は、上限3650万エーカーという自然保存地帯の内3350万エーカーがすでに登録されている。
 この農業法は上院の農業委員会で審議されないと米国では正式な農業法案として成立しない。ある農業アナリストによれば、この農業法は米国経済が不況下にあること、1996年の「農業自由化法」の期限がまだ1年残っていることなどの理由により上院で承認されることはありえないだろうとコメントしている。

028 PCS社が収益下方修正―カナダ・肥料会社―

 カナダの肥料会社PCS社は2001年第3四半期の決算と年間収支見とおしについて収益の下方修正を発表した。7‐9月期の1株利益は20セント、前年同期比ほぼ半額となった。年間収支見通しでは当初1株利益3ドルから3.5ドルが2.5ドルになると下方修正した。理由は、前半増益に寄与したチッソ肥料が後半息切れし価格が急落したこと。燐酸肥料は需給バランスで供給過剰気味。インド、オーストラリア、アメリカで燐安を増産したことが影響し、価格を下押ししている。加里肥料は販売数量の伸び悩み。夏場の肥料の売れ行き不振、秋肥料も販売の伸びを欠いている。北米の農家が肥料購入を来春にすると手控えているためとしている。
 世界の人口増加に対応する食糧生産に欠かせない肥料産業は長い目で見れば成長するとPCS社長は自信を示した。しかし、ニューヨーク株式市場では収益下方修正を受けてPCS社の株価は60ドル台から50ドル台へ下落した。 (m.s)

027 有機農業は近代農業と同様に環境に有害

 「Nature(ネーチュアー)」誌に英国の科学者が発表した論文によれば、「有機農業も慣行の近代農業と同程度の害を環境に与えている。有機農業が環境に優しいという保証はどこにもない」と述べている。有機農業は硫酸銅の使用を認めるが、これは肝臓の害になるし、生物胞子はねずみの肺病の原因になる。また、有機肥料は動物の糞尿を原料としているものも多いし、これが環境問題を引き起こす。チッソガスやメタンガスの大量排出の元凶にもなると主張している。

026 米国農業補助金 ホワイト・ハウスの意向で決定

 米国議会の農業委員会は今年の農業補助金のパッケージ55億ドル(約6700億円)を承認した。テキサス州選出の農業委員長ラリー・コンベスト氏の提案は65億ドルであった。穀物価格の低迷する中での低い補助金額では農家の補償が効果的に行えないと不満を述べていたが、ホワイト・ハウス筋から55億ドル以上の支出は無理との意向が伝えられ、農業委員会は渋々の決定となった。  穀物農家と綿花農家への直接支払い分が46億ドル(約5600億円)、大豆、ピーナッツ、野菜、その他農家への補助金が9億ドル(約1100億円)の内容も決定した。当初の農業補助金獲得の目標は100億ドル(約1兆2千億円)だったから、要求部分が相当削られたことになる。

025 カナダのIBR社が有機肥料の技術開発

 カナダのIBR社が、生ごみを有機肥料にするプロセスを技術開発し、農業用に可能か市場調査を開始している。アメリカ西海岸ワシントン州のポテト栽培地帯をターゲットに研究している。  それによれば、化学肥料を75%カットでき、この有機肥料を使えばポテトの収量は10%アップすると説明している。有機農産物の市場の伸びに合わせて、大企業や投資家にこの技術を使ってジョイント・ベンチャーを組むようアプローチしている。カナダのブリテッシュ・コロンビア州レデイ・スミス市に新プラントを建設中である。

024 コオロギの大群が農産物に被害もたらす

 コオロギとバッタの大群が米国ユタ州に発生し、農産物に多大の被害をもたらしている(6月)。ユタ州知事は、緊急農業災害救済令を発動し、連邦政府にも援助を求めている。
 昨年もユタ州ではバッタとコオロギの被害にあったが、今年の害虫被害は過去最悪の状態である。150万エーカーの牧草地帯と18の郡部の小麦畑が被害にあっている。2500万ドル(約30億円)の被害額が見積もられている。

023 北米自由貿易協定(NAFTA)は農家に利益なし

 6月下旬アメリカ市民グループが、「北米自由貿易協定が結ばれて以来、米国農家にとっては非常に厳しい状態が続いている」とのレポートを発表した。
 1994年北米自由貿易協定が締結されてから今日まで7〜8年の間に、とうもろこし価格は20%、小麦は28%、綿花価格は38%下落している。このグループは自由貿易協定に従来から反対の立場を取って来た。ブッシュ政権が西側半球の諸国と自由貿易協定締結の権限を与えられる法案を米国議会に提出する動きがあるのに対して、このレポートはけん制する意味がある。

022 中国のWTO加盟

 米国農務長官は、米国と中国がWTO加盟に際し、懸案となっていた諸問題についてこのほど(6月14日)合意したことは米国農民、果樹農家、食品業にとって歓迎すべきことだと述べた。WTOルールに基づけば、年間米国から中国への農産物輸出が20億ドル増加するはずである。
 13億人の人口を有する中国が世界貿易システムに参加することは、将来の貿易発展に著しく寄与するはずである。米国産農産物としてビーフ、鶏肉、チーズ、オレンジ、りんご、アーモンド等々の輸出に希望が持てる。現在、中国との間には数々の貿易障壁があるにもかかわらず、昨年の米国からの対中国農産物輸出は17億ドルだった。

021 口蹄疫で450万頭屠殺

 英国の政府筋の発表によれば、口蹄疫およびその伝染病予防のために屠殺された家畜は340万頭になる。5月30日から6月21日までに100万頭が殺された。おおざっぱに見れば羊80%、牛16%、豚4%である。さらに、110万頭の屠殺が予定されていて合計450万頭になる模様。  英国の家畜飼育総数はおよそ5500万頭だから、10%弱が口蹄疫のために殺されたことになる。それでも英国民の1週間に食べる肉は牛、羊、豚の合計が50万頭だから食肉になる家畜の数の方が多いと言える。

020 IMC燐鉱石マイン閉鎖 6/28

 米国フロリダ州のIMC所有の燐鉱石マイン4箇所を今年7月閉山すると地元紙が報じている。その記事によれば、フォート・グリーン鉱山、フォウ・コーナー鉱山、キングス・フォード鉱山が含まれ、一時解雇は1000人に及ぶ。ニュー・ウエルズ、サウス・ピアスの燐酸工場は現存燐鉱石の原料供給が続く限り稼動する。2800人いるマルベリーのIMC燐鉱(株)本社のレイオフは今のところない模様。

019 エネルギー政策

 アメリカ民主党チム・ジョンソン、共和党チック・ハーゲル議員をリーダーとする18人の上院議員が、自然エネルギー政策、特にエタノールの自動車燃料化を支持する文書に署名してチェイニー副大統領に提出した。チェイニー氏はエネルギー政策立案の中心人物として知られている。上院議員達は、アメリカ政府が車の燃料を更新するよう要求している。エタノールになれば年間90億ガロンの生産が必要になるだろう。

018 カナダ農家の転作

 カナダの資源大臣が先週、「カナダ西部地域の農家は小麦を作るよりもポテト、畜産または特殊作物を作った方が国際市場で競争ができる。ヨーロッパとアメリカが小麦に対し補助金を出す限り、カナダ産の小麦は国際マーケットで勝ち味はない」と語った。資源大臣は、カナダ南部マニトバ州の農家はポテト栽培に切り替えて成功しているともいう。
 さらに、資源大臣は、カナダ農家はエタノールの栽培も研究すべきではないかと提案している。車の燃料の25%がエタノールになれば、エタノールは今の3倍の生産が必要となる。カナダ連邦政府は新しい農業用水システム、農業研究資金、情報技術資金を転作補助金として、予算計上の検討する事ができるだろうと述べた。

017 米国で肥料価格補助の法案検討

 アラバマ州選出のハッチンソン議員、ミシシッピー州選出コチラン議員ら3人の上院議員が、エネルギーコスト高騰は肥料価格上昇の原因になり、農家経済を直撃しているとして、穀物保証基金から肥料に補填が可能かどうかを事務局に検討するよう指示している。
 この568法案の本来の主旨は、鶏舎や畜舎などの暖房用の天然ガスの高騰に対し、補助金支出を目的にしたものである。しかし、天然ガスはチッソ肥料の主原料でもあり、原料として天然ガスの価格が上がれば肥料製造コストが上昇する。2000年と2001年を対象に、エネルギーコストが原因で、生産資材の上昇を招き、農業生産が悪化する場合、この法案の解釈に基つき、農務長官の責任と裁量により、農家への補助金支出が可能ではないかというもの。
 この法案は上院の農業委員会で審議されるが、ハッチンソン氏はその委員である。コチラン議員は小委員会の委員長である。

016 農業の環境への負荷は改善

 OECD(経済開発協力機構)のレポートによれば、農業の近代化は過去20年の間、地球環境への負荷を年々減らしてきている。しかし、農業が環境に負荷を与えている事実に変わりない。
 チッソ肥料と農薬の河川や地下水への流出はこのところ着実に減少している。グリーンハウスからのガス排出も減ってきている。例えば、日本とヨーロッパでは化学肥料と農薬の使用は10%も減っている。オーストラリア、カナダ、アメリカなどは土壌流出を防いだり、環境に優しい新しい農法が生まれている。これらのことが環境改善に役立ってきている。

015 カーギル社の第3四半期は減益

 穀物商社カーギルの2月末終了の第3四半期決算は、99百万ドル(約120億円)の利益にとどまった。6―2月通算9カ月通算利益は445百万ドル(540億円)、昨年同時期に比べて8%低い数字である。スタンレー会長は、「エネルギーコストの上昇がエネルギー加工部門の収益を悪化させ、世界的な需要減退に、過剰在庫を抱えることになった」と述べた。

014 デルモンテ食品(株)は増益(第3四半期)

 米国最大の野菜フルーツ缶詰会社、デルモンテ食品(株)の3月終了の第3四半期の決算が発表された。6.7%増の10.7百万ドル(約13億円)の利益だった。トマトと野菜の消費の伸びが、生産コストの上昇を抑えて増収益に貢献した。
 この期の売上高は383百万ドル(約460億円)、前年同期は353百万ドルで前期比8.5%上回った。ウオルフォード会長によれば、野菜の消費は5%、トマトの消費は14%の伸びであった。消費増で在庫の整理につながった。(MS)

013 アメリカの農家収入は10%減

 アメリカ上院の農業委員会で、エコノミストのコリン氏は、2001年度のアメリカ農家収入の見通しは500.7億ドル(6兆円)となり、前年度と比較して10%減収になるだろうと述べた。これは1994年以来最低の水準である。生産資材費、特に天然ガスと肥料価格の上昇があり、ドル高によるアメリカ農産物の輸出減、3年続きの豊作で在庫の増加など複合的な原因により減収になると説明した。農務省はとうもろこし価格は1986年以来、大豆価格は1972年以来2番目に安い価格水準になるだろうと予測している。

012 宇宙衛星から地球上の農地調査

 宇宙衛星から写真に撮った世界の農地地図をもとに、国際食糧政策調査機関と科学者が次のように警告している。
 世界中の農地に関しては土壌の質が悪化している。また農業用灌漑は、補給が間に合わない程、地下水などを使用している。しかし、世界の土壌の中では北米の農地が最良の状態を示している。29%の北米農地は化学物質汚染、液状化、塩害、悪排水などの土壌悪化には至っていない。世界の人口増に合わせて、農業灌漑水の合理的な使用や各地域で有機物の農地への還元がないと、農業生産は地球人口増加に追いつかない危険性がある。

011 米カーギル社が中国に肥料工場

 中国東北部のヤンタニに昨年8月、米国のカーギル社が10万t規模の肥料BB工場(粒状配合肥料)を建設した。現地法人「ヤンタニ・カーギル肥料」社を設立。尿素、燐安、塩化カリ、硫酸カリ、過燐酸などを原料として使用する。袋詰め施設も完備した。
 1996年にカーギル社は中国チアンジンに第1号肥料BB工場を建設済みで、今回は2番目の工場である。また、カーギル社はアルゼンチンのケブラチョ市にも肥料工場に隣接した6万t収容の倉庫を建設中である。旧6万tの倉庫と合わせ12万tの能力になる。アルゼンチンでは最も効率的な倉庫になるはずである。

010 カナダ 小麦公社の販売額アップ

 カナダのサスカチワン小麦公社の6カ月間の販売額は16億ドル(約2000億円)となり昨年比3%上昇した。しかし、第2四半期の販売額はアップしたが、赤字額も18.8百万ドル(約20億円)となり、昨年同期赤字14.8百万ドル(約15億円)に比べ増加した。
 シュミット会長はこの赤字について、収益、キャッシュフローとも改善しつつあり、われわれの見通しも今がボトムラインであると思っている。5つの事業部門すべてに、昨年より改善が見られると話している。(MS)

009 126才女性は化学肥料が嫌い

 ドミニカ共和国で、現存するお年寄り中でも、おそらく世界最高齢者であろう女性エリザベス・イスラエルさんに現地の新聞がインタビューした。彼女の長寿の秘訣はとの質問に化学肥料によらない食物を食べつづけたからだと思うと語った。ドミニカ国のカリビーン島にある教会の記録に依れば、彼女の誕生日は1875年1月27日(明治18年生まれ)である。(MS)

008 米国、トラクターの販売好調

 米国ナシュビル市のトラクター・サプライ且ミは、昨年第4四半期の売上と2000年通年のトラクターの売れ行きは過去最高を記録した。前年688百万ドル(約790億円)の販売高が2000年には759百万ドル(870億円)に達した。2001年計画では、同規模で4%の販売増を見込んでいる。トラクターサプライ社は3から6販売店の入れ替えと3―5店のリニユーアルを予定しており、更に25店の新店舗オープンも計画しているので2001年は850−865百万ドル(995億円)の売上を計画している。

007 米国、小麦の輸出も植付け面積も減少

 米国農務省の発表によれば、冬小麦の播種面積は1971年以来最低の41.3百万エーカーとなった。昨年秋に比べて4.7%ダウンである。また、農務省の別のレポートによれば、とうもろこし、大豆も輸出予測を下方修正した。現在、ほぼ1年分に相当するとうもろこし在庫があり、最近10年では最大の在庫量になる。一方、2000年のとうもろこしの収穫量は史上2番目の豊作で99.7億ブッシェルだった。
ミズリー大学の調査機関の予測によれば、政府の補助金レベルにも影響されるが、石油や化学肥料のコストが高いので、とうもろこしから大豆に転作する農家が増えるのではないかという。2001年は1.8%とうもろこしの作付け面積がダウンし、大豆は75.5百万エーカー、昨年より百万エーカー作付け面積が増加すると予想している。

006 カナダに有機肥料工場建設

 IBR社は2001年1月19日、カナダのバンクーバー島に新工場建設の鍬入れ式を行った。この工場は、産業活動から出る有機物ゴミを原料として有機肥料を製造しようするのが目的である。勿論、農業から出るゴミも収集して有機肥料の原料にする。この工場の建設完成までには1年かかる。操業開始されれば、25―30人の常雇い労働力が必要になる。生産量は1日当たり110トンの有機ゴミを処理し、ゆくゆくは220トンまで生産を上げて行く計画である。

005 カーギル社は利益174百万ドル上積み

 米国の穀物商社カーギル社は、昨年9月末で終了した第2四半期の決算で174百万ドル(約200億円)の利益を計上した。この数字は前年同期の145百万ドル(166億円)の利益に対比して20%のアップである。6ヶ月通算では前年比17%アップの346百万ドル(約400億円)となった。カーギル社のスタンレー会長は、「この期間(7−9月)の増収は嬉しい。牛肉加工事業と金融部門が収益に寄与し、肥料及び鉄鋼部門は市況が悪く、収益計上はできなかった」と語った。

004 アメリカ経済の実態

(1)2000年後半からアメリカ経済の成長は著しく鈍化している。前半6%成長から反落、年間GDPは5.2%成長に落ち着くと予想されている。2001年は更に成長率は落ちると推測され、3%成長ぐらいに留まるかもしれない。このような右肩下がりの傾向にもかかわらず、2001年からアメリカ経済がリセッション(不況)に入ることはないだろう。
(2)IBP(株)米国牛肉加工最大手は、TYSON食品(株)鶏肉加工のナンバーワン業者からの買収話を保留している。もし、両社が合併すれば、牛肉、豚肉、鶏肉加工を一元化し、その販売高は210億ドル(約3兆6千億円)にもなる。

003 遺伝子組み換え品種は慎重に販売・・・モンサント社

 バイオ作物の推進に熱心のあまり、バイオの危険性への配慮にやや欠けたきらいがあり、遺伝子組み換え品種の市場販売は慎重に行うと、バイオ大手の化学会社モンサント社の社長が発表した。新種の遺伝子組み換えとうもろこし(ラウンドアップ・レディ)の種の販売は、輸出用穀物を栽培しない地域の農家にだけ、2001年は販売する方針を明らかにした。アメリカとカナダは飼料や食品として販売許可されているにもかかわらず、ヨーロッパ諸国はまだ許可になっていないからである。
 2番目の遺伝子組み換え品種とうもろこし、線虫(ルートワーム)に抵抗性のある品種は2002年までは農家に販売しない。「この技術開発は中止しないが、節度を保った研究を続ける」とモンサント社は言っている。

002 ドメイン名「ドット・コープ」の登録を承認

 インターネット上でのドメイン名を「ドット.コープ」として使用することが最近認められた。即ち、協同組合ビジネスのグループがインターネットを利用する際、従来、コム又はオラグ(com or org)としてアドレスの最後を表示していたのに、「コープ」(.coop)で終了できることになる。180業種以上がドメイン名を今回申請したのに対し、インターネット・コーポレーションは7業種についてのみ新たに承認した。その中に協同組合「コープ」(.coop)も入ったのである。全国協同組合連合会(米国)会長ポールハ‐ゼン氏はインターネット上混乱を避けられるし、協同組合関係にとって大変うれしいことだと語った。

001 アメリカ女性の就農者

 昨年12月発表の米国のセンサス結果によれば、1997年時点、米国の女性就農者は16万5000人で5年前に比べて14%増え、米国全農業人口の8.6%を占めるようになっている。
 米国の農業就業人口は1982年から1997年の15年間におおよそ15%減少したにもかかわらず、女性就農者は逆に増加していることになる。しかし、女性が新規に農業分野に進出したということではなさそうである。というのは、65歳以上の女性就農者が36%、70歳以上が26.3%もいることは、夫が高齢か死亡したので農作業が不可能になり、妻が農家を引き継いだケースが多いためではないかと思われる。女性就農者は全米農産物の3.6%を生産し、農地は全米の5.4%を所有していることになる。

 畜産農家に女性経営者のスペシャリストがいてヤギや馬の世話をする人が多い。また、比較的小規模農家に女性就農者が多いことも統計上はっきりする。例えば、年収2万5千ドル(約288万円)以上の大規模農家は男性農家では36.9%いるのに対し、女性就農者は18.3%でしかない。一方、農業収入2500ドル未満(約38万円未満)の小農は男性農家24.6%に対し、女性就農者は40.6%もある。しかしながら、女性就農者の80%が農場や果樹園を自己名義で所有しているのに対し、男性農家は58%しか農地・農園を所有していない。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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