花の流通ネットワークを構築して電子商取引と情報をサービスする「花きネット(株)」(東京)が10月から業務を始める。生鮮市場でインターネット取引の専門会社は初めて。一般のネット取引は″卸中抜き″だが、花きネットは既存の流通網を活用し、全国の卸売市場・買参人などが多様な電子取引をできるようにする。
中核市場で形成する連合体を主体に、いわば業界インフラとしての共有ネットで流通合理化を目ざす。
会社設立の中心はパーソナル情報システム(株)で、花き業界のシステム開発などで実績がある。片桐良行社長は花きネットを「だれでも参画できる業界のスタンダードにしたい」と語り、生産者やJAなどにも参加を呼びかけている。
同社の試算では、花き産業の規模は1兆2500億円。生産額は6400億円。花き市場271社の卸売価格は5870億円で、ネット取引の稼働による付加価値は年間240億円。
業界最大手の大田花きが7月からネット取引システムを稼働させたが、一部大手の電子化で地方市場との格差が広がり、需給のアンバランス傾向が今後さらに出てきそうだ。しかし収益力の低い各市場単独のシステム構築は困難な状況。
このため花きネットは市場連合をねらった。一方、市場には産地が求める小売最前線の情報を十分に伝えていない問題もあり、同ネットは市場が本来の役割を担えるよう支援するという。 同社のサービスメニューは多いが、10月からは、市場と買参人の相対電子取引と、入荷や市況のホームページを先行させる。来年一月からは市場間取引を開始。また4月からは産地と市場連合の取引と、すべての情報サービスを提供。その中には主要産地の定点観測情報や売れ筋情報がある。
そのあとは自動決済と、ネット取引に見合った物流システムの実現を目ざす。 ネット参加は卸売110市場、生産者3万人、仲卸5000軒が目標。
会社設立は9月。資本金2億円、来年9月には3億円に増資する計画。
<お問い合わせ先>
パーソナル情報システム(株) 花きネット設立準備室
TEL 03-5440-2911 FAX 03-5440-2922
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