ノバルティス社から新殺菌剤を買収 |
これらの周辺について、バイエル社のマンフレッド・シュナイダー社長は「(フリントの)買収は、当社の中核事業とその成長市場に投資する戦略の一環である。この買収により、バイエルは農薬事業の競争力を高め、現在すでに高いこの事業分野での利益をさらに増大させることになる」と述べている。 さらに、バイエル社は有効成分のシプロコナゾールをベースにした製品(アゾール殺菌剤)のEUにおける販売独占権も取得する。このアゾール殺菌剤は、現在「アルト(ALTO)」という製品名で主要なEU市場の全てで市場投入されている。 「フリント」製品ラインの効能は既存の殺菌剤より優れており、同製品の適用作物はバラエティーに富んでいる。すでに、米国や英国などの重要市場を含む世界35か国で登録を取得しており、全世界での上市は2003年までに完了する見込みだ。 なお、バイエル社は研究を基盤とした世界的な企業グループであり、主要な事業はヘルスケア、農業関連製品、高分子材料、スペシャリティー化学品に及んでいる。世界に12万人の従業員を擁し、1999年の売上高は273億ユーロ、純利益は20億ユーロとなっている。2000年の予算では、設備投資24億ユーロ、研究開発費22億ユーロに、それぞれ及ぶ。さらに、バイエル社の農薬事業は農薬製品の供給で世界の大手であり、1999年の売上高は22億ユーロだった。 【解説】 このストロビルリン系の殺菌剤において、わが国で先行したのはクレソキシムメチル(BASF・製品名=ストロビー、1997年12月農薬登録)、アゾキシストロビン(ZENECA・同=アミスター、1998年4月農薬登録)、メトミノストロビン(塩野義製薬・同=オリブライト、1998年10月農薬登録)の3剤。 2003年、この分野において「フリント」旋風が巻き起こっているだろう。本剤は主に果樹、野菜畑作分野で普及展開され、日本バイエルアグロケム社の戦略品目に成長するものと見られるが、先行剤の経験を十二分に生かした普及展開を、慎重の上にも慎重を重ねて実践すべき、というのが筆者の見解。 |