朝、摘んだ野菜をその日のうちに店頭へ −栽培ネットが青果物の電子商取引を開始− |
今回同社が発表した青果物の電子商取引は、企業間取引であるBtoBであるため、供給側(生産側)は、JA(生産部会)、生産法人で、購入側は量販店や外食・中食などの企業となるが、農家が自信とこだわりを持って栽培した野菜を最良の状態で収穫し、その美味しさを保ったまま消費者に届ける流通システムで「朝摘み畑」と名づけられている。 栽培ネットの朝摘み畑での取引方法は「シードオプション方式」がとられる。具体的には生産側が播種した段階で出荷計画と価格をネット上に公開する。購入側はそれを見て予約する(必要とする日の数ヶ月前から1週間前)。指定された納入日に生産側は収穫し、購入社が指定した所まで配送する。予約から納入までの期間に、購入社は予約した野菜の生育状況を畑にセットされたカメラをモニタリングする(ネット上で)することもできる。 今後の日程は、12月8日までに生産側の供給リストと購入側の購入したい品目リストなどを集約し、播種が始まる時期である来年1月15日から予約を開始。3月1日から出荷をスタートする予定だ。地域的な展開については、生産地は3月の関東の1都6県からスタートし、5月に北海道・東北・甲信越に拡大、全国展開は秋以降を予定している。購入側については、3月は東京・神奈川・千葉・埼玉。5月に関東全域と東海・近畿に拡大し、秋以降全国の予定だという。 栽培ネットでは、市場や卸など中間流通段階が省けるために、収穫から納入までの時間が短縮でき、流通コストが低減できること。予約制なので、計画購入ができることなどを特徴としてあげている。また、価格については出荷計画段階で公開され納入時まで一定なので、市場動向などに左右されず安定した取引きができるとしている。天災など予期できないリスクに対しては保障機構を検討しているとしているが、市況の大きな変動についての対応はとくに考えていないという。そのあたりを購入側がどう評価するかが、一つの鍵になるのではないだろうか。また、市場取引の場合には、現物を見て品質その他を確認することができるが、「朝摘み畑」の場合にはその点をどうするのかが、いまのところ定かでないことが気にかかる。 いずれにしても、インターネットの特性を活かした新しい試みであり、物流の近代化が遅れているといわれる青果物流通に、新たな一石を投じたことは間違いなく、今後、どのような展開になっていくのか目が離せないだろう。 |