プロ化する消費者の選択能力にどう向き合うか 21世紀の外食産業 新たな成長モードを探る −第6回日本フードサービス学会年次大会より− |
研究者と外食産業の経営者、フードコンサルタントなどで構成されている日本フードサービス学会(奥住正道会長)の第6回年次大会が1月20日、東京・平河町の日本海運倶楽部で開かれた。今年のテーマは「変わるフードサービスの成長モード」。消費の低迷から外食産業市場も停滞しているなか、新たな成長パターンとして何が見いだされるのかをめぐって、研究報告やディスカッションが行われた。学会では国民の健康を守る外食産業として「味」で消費者を惹きつけることの重要性などが指摘された。 (財)外食産業総合調査研究センターの推計では、外食産業の市場規模は28兆1400億円(平成11年)、そのうち食堂・レストランなど飲食店は13兆2700億円(同)となっている。市場規模はバブル崩壊の直前までは右肩上がりで伸びてきたが、ここ10年間はほぼ横ばいで、しかも10年、11年は縮小している。 学会では、こうした現状を踏まえて「何を食べさせるかと同時に、どのように食べさせるかという業態開発も今後の課題」(学習院大学・田島義博教授)との指摘もあった。 × × × そのためのヒントになるのは消費者の動向だ。ワークショップ「新世紀、フードサービス再考」では、消費者の外食選択能力がプロ化しているとの認識から、消費者へのヒアリング調査をもとにディスカッションが行われた。 × × × こうした結果を踏まえて明治大学の大友純教授は「消費者にとって店はあくまで自分の目的を実現するための手段。顧客の真の購買目的をつかむことも重要になってきたのではないか」と指摘。 これに対し道畑氏は「調査結果をみるとメニューに対する注文が一切出てこず、外食はバランスが悪い、など不信感のかたまり。外食が提供する食もスーパーマーケットで調達するのと変わらないのなら健康の点でソッポを向かれる。原点に戻るべき」などと提言した。 とくに議論になったのが、高齢者への対応を外食産業がこれまで考えてこなかった点だ。 ただし、一方で消費者の低価格志向が続くことを見越すと、本格的で多様性のある味を提供するには、効率的に食材が調達できるよう生産から流通までのサプライチェーンの構築が必要なことも指摘された。 ファミリーレストランが登場して30年。国民の健康を守る視点での成長戦略も求められる時代という認識が広がっている。 |