(社)日本食品機械工業会では、1月17日、虎ノ門パストラルにおいて、新春懇話会を開催した。日食工では、著述・講演・TV出演等の多彩な文化活動で知られる料理評論家の山本
益博氏を講師に招き「作る情熱、食べる情熱」を演題にした講演会を催した。
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山本 益博氏 |
山本氏は、「作り手の思いを伝えたい」という気持ちを基調にして、含蓄に富んだ興味深い話を展開した。イチゴの話では、昔のイチゴは香りが高く、酸味も強かったが、このごろ人気のイチゴは、甘味を強調したものが多くなったと言う。
確かにイチゴに限らず、トマトも大根も、一昔前の個性的な懐かしい味を失ってしまったようだ。また、果樹生産農家では、完熟した果物が美味しいことは解っているが、傷みやすいので完熟前の物を出荷しているという話もあり、考えさせられた。
祇園の料亭「千花」の主人と山本氏の、料理をめぐる息詰まるような対応は、聞き応えがあり、時の経過を忘れさせる内容だった。素材・加工技術(料理)・消費という一連のプロセスはあるものの、生産者の思いを真摯に受け止めて食べる、ということを除いては、食文化が風化してしまう。このことは、農業の根幹に関わる問題でもある。
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