米国化学第2位のダウ・ケミカル(マイケル・D・パーカー社長、米国ミシガン州)は3月8日(現地日)、米国特殊化学大手のローム・アンド・ハース(米国ペンシルバニア州)の農業化学品部門を約10億ドルで買収することで合意したと発表した。
今回の合意にもとづき、ダウ・ケミカルの農業化学部門を担う子会社のダウ・アグロサイエンスは、ローム・アンド・ハースの農業化学品部門の殺菌剤、殺虫剤、除草剤等の製品や、商標、同社のバイオテクノロジー資産の農業分野における使用権など、全資産を取得する。
この買収は、2001年6月(第2クォーター)に完了するが、ダウ・アグロサイエンスのA・チャールズ・フィッシャー社長は、「今回の買収にともない、ダウ・アグロサイエンスの農作物、芝および家庭園芸といった製品群の拡充がグローバル規模で可能になる」、と述べている。
また、ローム・アンド・ハースのラグ・グプタ会長は、「当社の70年に及ぶ農業化学品部門の歴史を考えると、今回の売却は困難な決断であった。しかし、ローム・アンド・ハースの農業化学品部門が、当社を上回るプレゼンスを持つ多国籍企業の傘下に入った方が成長できることは明白だ。ダウ・アグロサイエンスは、植物防疫の分野では世界最大級の企業であり、当社の農業化学品部門をより発展させていけるだけの経験、ノウハウ、資源を備えている」、と語っている。
買収にともない、ローム・アンド・ハースの製造拠点の一部(ブラジルのジャカレイ、コロンビアのバランキーラ、フランスのローターブール、イタリアのモンザニーカ、中国の南通)と、同社がアイオワ州マスカンティンに持つ資産の所有権がダウ・アグロサイエンスに移行する。さらに、フィラデルフィア工場の農業化学品生産部門はダウ・アグロサイエンスに委託される。
ローム・アンド・ハースの2000年の農業化学品売上高は5億3,100万ドル。今回の買収後、ダウ・アグロサイエンスの年間売上高は約30億ドル(世界シェア9%)に増加する。農業化学部門を積極的に強化するダウ・ケミカル。日本国内においても、大きな波紋を呼びそうだ。
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