シンジェンタは3月19日、2000年の業績を期待通り達成したことを明らかにした。
低迷する市場において、年2%の売上増加を達成したもので、EBITDA(支払利息・税金・減価償却・償却控除前利益)は10%増加した。さらに、税引き前利益は30%増加し、2000年の1株当たりの利益は2.19ドルとなった。
詳細を見ていくと、シンジェンタの売上の86%を占める農薬の売上は2%増加した。好調な上半期(6%増加)の後、農作物価格が低迷したために、下半期には5%の減少となった。この背景には、ヨーロッパの重要な冬作物地域で異常に降水量が多かったことが挙げられる。
さらに、ブラジルとアルゼンチンでバランスシートのリスクを軽減するために、同社では意識的に売上を抑えている。これらの要因が、特に選択性及び非選択性除草剤の売上に影響し、年間を通じて好調であった殺虫剤の成長を相殺した。殺菌剤の売上は1999年を上回っている。
また、種子は上半期に8%増、下半期に4%増、トータルで7%の増加となっている。非重点作物分野における重要な再編成が完了しているが、これは利益面ではマイナスに作用した。
一方、研究開発においては、トウモロコシの広葉雑草用新規選択性除草剤「カリスト」が初めてヨーロッパで登録されるなど、2000年は活発であった。
今後の上市予定を見ると、水稲の禾本科雑草用のピリフタリドが韓国で登録され、2001年に上市される予定。また、トウモロコシとサトウキビ用の新しい低薬量(高活性)除草剤トリフロキシスルフロンソディウムが、初めて2001年にラテンアメリカで上市される予定。
加えて、第二世代ストロビルリン殺菌剤ピコキシストロビンは、ヨーロッパの主要市場で2002年の上市を目指している。また、除草剤に耐性を持つ作物に素晴らしい効果のある「タッチダウンIQ」も米国とヨーロッパで登録された。
次に、2001年始めには、ミリアッド社(米国ユタ州)との協力により、イネゲノムの解読の完了を発表した。このプレークスルー技術は、他の穀物のゲノム解読にとっても非常に重要で、高付加価値農作物の開発をさらに加速化することになる。
合併前の両社が、1999年末に発表した経費削減プログラムは、2000年には1億ドル(約108億円)の経費削減を実現した。このため、EBITDAは11億9,500万ドル(1,290億円)、売上の17.4%にまで増加した(1999年は11億3,400万ドル、売上の16.2%)。為替レートの影響により、売上は4%減、EBITDAは5%減となっている。
試算データから除外されている8億5,200万ドル(約920億円)の税引き前資産売却益は、公正取引当局の指導によりビジネスを売却した結果生じた。この利益は、シンジェンタ設立に要した1億2,200万ドル(約130億円)の特別経費、および合併による相乗効果現出のための組織再編コスト2億700万ドル(約220億円)により、一部相殺されている。
運転資金を厳しく管理したことと、ビジネスを売却した税引き前9億5,500万ドル(約1,030億円)の収益があったため、年末の純債務は24億ドル(約2,590億円)、純負債比率は58%であった。
なお、今後の見通しについて最高経営責任者のマイケル・プラグネルは、「シンジェンタは非常に野心的な目標を掲げた。その1つは、2004年にはEBITDAを売上の25%にすることだ。 我々はこの目標を達成するために、製品ポートフォリオの質を高め、2004年までに5億2,500万ドル(約570億円)の経費削減を目指す。好調なスタートを切った昨シーズンに比べると、今シーズンは緩やかにスタートした。社内には力強い勢いが漲っている。2001年度内に、さらに9,000万ドル(約97億円)の経費削減を行うというプランも順調に進んでいる」としている。
シンジェンタは、スイス・バーゼル市に本拠を置き、2000年11月13日に株式を上場、設立された。400億ドル(約4兆3,000億円)の農薬市場における世界的リーダーである。農薬では世界第1位、高価値種子では世界第3位の地位にあり、力強いブランドを幅広く揃えたポートフォリオと、強力なパイプラインがこれを支えている。
合併による統合計画は、株式上場の前に完成し、新会社設立の第1日目から実施に移され、2001年1月末日までには、北半球のほとんどの主要国において、顧客に対して1つの顔を持つことができている。日本でのシンジェンタ設立は、7月1日が予定されている。
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