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農業関連は前年比3%増
日本のバイエル 2000年業績で記者会見

クヌート・クレデーン氏
在日バイエルグループ代表
クヌート・クレデーン氏

 日本のバイエル(クヌート・クレデーン代表=東京都港区高輪4−10−8)は3月28日、東京・バイエルハウスにおいて記者会見を行い、在日バイエルグループ代表のクヌート・クレデーン氏(バイエル株式会社社長)が2000年度の業績を発表した。
 それによると、2000年の日本のバイエルグループの売上は、前年比12%増の2,230億円を記録、この数値は過去10年間で最も高い伸び率を示したもの。また、クレデーン代表は、バイエル(株)がバイエル薬品に関する武田薬品工業とウェルファイドとの合弁契約を解消し、同社に対する持株比率を100%としたことを明らかにした。
 2000年は、日本のバイエルにとって好調裡に推移した年となった。これを裏付けるように、営業利益は前年度比40%増の223億円を達成、売上利益率は10%を確保した。特に、ヘルスケア事業部門が大きく貢献しているほか、大幅な人員削減による業務の効率化も奏功、日本のバイエルの従業員数は、2000年末で2,934名となっている。

 【ヘルスケア事業部門】

 ヘルスケア事業部門は、前年比8%増の1,020億円を記録したが、この数値は全売上高の46%を占めている。
 医療用医薬品事業では、アレルギー性鼻炎治療薬「バイナス」と重症感染症治療薬の「シプロキサン注」が2000年に新発売され、それぞれ成功した。主力製品の高血圧・狭心症治療薬「アダラートCR錠」、高コレステロール血症治療薬「バイコール」も売上が伸長している。
 また、解熱・鎮痛剤として定着しているアスピリンが、2000年9月に脳卒中や心筋梗塞を予防する抗血小板剤「バイアスピリン」として日本でも承認されている。「バイアスピリン」は2001年1月に発売され、すでに広く衆目を集め、売上も伸長している。
 診断薬事業は、全体的な市場の落ち込みにも係わらず、前年と同水準の売上をあげた。特に、尿検査部門は50%強のシェアを堅持している。

 【農業関連製品事業部門】

 農業関連製品事業部門では、国内市場が落ち込みを見せる中、前年比3%増の成長を確保し、280億円の売上高を記録した。
 その内訳を見ると、農薬事業では「アドマイヤー」(有効成分=イミダクロプリド)を含む主要製品が前年比アップとなった。また、動物用薬品事業では市場環境の悪化にもかかわらず、売上は好転した。さらに、畜産薬ではバイエル初の水産用経口剤「ハダクリーン」の発売によって売上が伸長した。これに加え、2000年半ばの日本における口蹄疫発生に伴って消毒剤「ビルコンS」の需要が好調であった。

 【高分子材料事業部門】

 高分子材料事業部門の売上は、前年度比12%増の510億円となった。2000年6月に新設された合弁会社ディーアイシー バイエル ポリマー(株)の売上も合わせて、樹脂事業の売上は倍増した。  また、ゴム事業は安定した需要と価格の引き上げにより堅調に売上を伸ばした他、塗料・着色材事業も引き続き好調さを示した。ポリウレタン事業は、輸出の減少に伴い前年の水準を若干下回った。

 【化学品事業部門】

 化学品事業部門は、前年度比37%増の420億円を達成した。特に、H.C.スタルクはタンタル粉末の需要急増で同社史上新記録の売上64 %増を記録した。また、基礎・精密化学品事業は順調な伸びを示し、導電性ポリマー「バイトロン」がIT関連ツールのメーカーに広く認識された。さらに、スペシャリティ事業が売上を伸ばしたほか、ハーマンアンドライマーは前年の売上水準をわずかながら上回った。

バイエル薬品を完全子会社化

 【組織改革】 写真

 日本のバイエルは、1999年からバイエル(株)を事業兼営持株会社として、グループ会社に対する持株会社化を進めてきた。最近の重要なステップとしては、バイエル薬品を完全子会社化したことが挙げられる。バイエル(株)は、バイエル薬品(株)に関する武田薬品工業(株)及びウェルファイド(株)との合弁契約を友好的に解消した結果、2001年3月23日付で同社に対する持株比率を100%とした。
 また、2000年12月に、バイエル(株)は住友バイエルウレタンにおける持株比率を60%に引き上げ、同社の経営権を取得した。これにより2001年2月、同社の社名は住化バイエルウレタンに変更された。
 さらに、2000年6月に、バイエル(株)は大日本インキ化学工業(株)との折半出資でディーアイシー バイエル ポリマー(株)を設立した。同社は、熱可塑性ポリウレタン樹脂の新市場を開拓していく。
 加えて、2000年10月に、ダイスターにBASFの染料事業部門が加わり、ドイツ・バイエル社の持株比率が50%以下になった結果、日本でもダイスタージャパンがバイエルグループから独立した。

研究開発に130億円をさらに投資

 【2001年の見通し】 写真

 「2001年も、日本のバイエルはさらなる成長を目指している。ヘルスケア、農業関連製品、高分子材料、化学品の4事業部門全てにおいて、事業規模が拡大するものと見込んでいる。また、提携や合弁、事業取得を含め、ビジネスチャンスを追求していく」、とクレデーン代表は語っている。
 全体として、2001年は売上10%増を目指し、研究開発費に関しては130億円をさらに投資していく。



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