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アグリビジネス業界ニュース

極めて厳しい課題を克服し
農業・農村の発展に一層努力

― 日本化成肥料協会 ―

市川淳会長
 日本化成肥料協会の市川淳会長は7月9日、新肥料年度(平成13年7月1日〜平成14年6月30日)を迎え、「化成肥料業界は、極めて厳しい状況にあるが、課題の克服を図るとともに我が国の農業・農村の発展に向け一層の努力を続ける」と挨拶した。
 【挨拶全文】
 昨年7月から会長をお引き受けして、早や一年が経過いたしましたが、我が肥料業界を取り巻く環境には大変厳しいものがあります。
 肥料の出荷は平成6肥料年度から減少を続け、長期低落傾向に一向に歯止めが掛からず、12肥料年度も化成肥料は対前年比7〜8%程度の出荷減少は避けられない状況にあります。
 この要因は一言で言えば、日本農業の抱える構造問題ということであります。水稲減反強化に加え、最近では特に輸入野菜等が急増し、農産物価格の下落をまねき、我が国の農家経営を著しく圧迫しております。
 このため、初めてWTO協定に基づき、中国から輸入が急増しているネギ・生しいたけ・畳表の3品目について一般セーフガードの暫定措置が発動されました。発動期間は11月8日までの200日間で、この間に期間4年間のセーフガードの本発動に移行するか否かの判断がなされることになります。いずれにせよ、日本市場は近隣諸国の絶好のターゲットであり、今後ともこの種の問題が多発することが懸念されるわけで、足腰の強い日本農業の構築を切望するしだいであります。
 さて、我が肥料業界においても難問が山積しております。肥料需要も我々の予想をはるかに越えるスピードでダウンしており、どこで歯止めが掛かるのか全く見当がつかない状況にあります。このような状況のなか、肥料メーカーはそれぞれの立場で、人員合理化、工場閉鎖、生産受委託、系列を超えた思い切った業務提携等のリストラに取り組むとともに、環境にやさしく又、省力化や農産物のコスト低減に役立つ高機能肥料の開発普及に注力し、我が国の肥料安定供給体制の維持に努めて参りました。
 業界のさらなる発展に資するためにも、肥料の最終消費者である農家や農業生産法人が肥料の購入及び施肥等についてどのような考え方で取り組んでいるのか、今後の動向はどうなのか等の現場の実態を早急に調査し、適切なる対応を模索していかねばならないと考えております。
 日本化成肥料協会は、農業の役割や化成肥料の重要性や安全性をより多くの人々に理解していただくため積極的な広報活動にも取り組んでおります。本年度は特に児童生徒向けに肥料に対する興味を持っていただくために、広報資料として、新たに「植物を育ててみよう−トマトの栽培に挑戦−」と「植物養分チームと遊ぼう」の2冊子を刊行し、広く配布することにいたしました。また、協会の組織や活動状況をお知らせし、肥料に関する皆様方の疑問等にお答えするためにホームページを設けておりますが、開設以来のアクセス数も1万件を越え好評をいただいております。更なる活用を期待いたしております。
 ところで、21世紀の我が国の食料、農業、農村のあり方を示唆した「食料・農業・農村基本法」が制定され、これに基づき、昨年3月に食料自給率の向上を目指した「食料・農業・農村基本計画」が策定されたことはご承知のとおりであります。平成22年度に供給熱量ベースで45%の食料自給率を達成するために、地域段階における生産努力目標の策定状況がこの4月26日に農林水産省から発表されました。それによると現在までに33の都道府県において、麦類、大豆、飼料作物等の生産努力目標(作付面積)が策定され、麦類は30%、大豆は60%、飼料作物は10%それぞれ作付面積を増加させることになっております。このように目標達成のため県、市町村レベルにおいても着々と準備を整えていることは心強い限りであります。この計画を実現するためには、国の強力な施策推進はもちろんですが、現場段階においても創意・工夫を凝らし、生産性の高い農業が営まれることが必要であります。安全で高機能を有した化学肥料の役割は今後とも益々重要性を増すものと確信しております。幸い日本の肥料メーカーの技術水準は世界トップレベルにあるわけですから、今後も高機能を有した商品開発に努め、農家の皆様の多様なニーズに応えて参りたいと存じます。
 当業界といたしましては、極めて厳しい状況にありますが、課題の克服を図るとともに我が国の農業・農村の発展に向け一層の努力を続けて参る所存であります。
 引き続き皆様方のより一層のご指導ご鞭撻をお願い申し上げ、年度始めのご挨拶とさせていただきます。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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