JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

アグリビジネス業界ニュース

研究は実用化の一歩手前にまで
『ろまん報農』(第22号)発刊なる

― 報農後援会 ―

『ろまん報農』
 報農後援会(佐藤仁彦会長)ではこのほど、会報『ろまん報農』(第22号)を発刊させた。
 今回の内容は、「植物保護におけるバイオテクノロジーの研究と教育のありかた」(日比忠明氏・東京大学大学院農学生命科学研究科)、「米国コーネル大学での一年間」(景山幸二氏・岐阜大学農学部)、「世界ササゲ研究会議参加記」(足達太郎氏・東京大学大学院農学生命科学研究科)などで構成されている。
 先ず、日比忠明氏は、「植物保護分野においても、市場の見通しが立たないために企業が研究開発を中断せざるを得ない様な分野こそ、大学や国公立の試験研究機関が責任を持って重点的に研究を推し進めて行くべき1つの領域であろう」とし、そのためには「単なるモデル研究に止まらず、実用化一歩手前にまで踏み込む姿勢が肝要」だとした。
 また、景山幸二氏は、“P.ultimumによって引き起こされる苗立枯病のEnterobactor cloacaeによる生物防除効果に及ぼす宿主の要因”を研究テーマとし、「防除効果の異なる作物の種子の周りにいるP.ultimumの胞子のうの発芽をE.cloacae処理した条件下で観察すると、防除効果の劣る作物の種子の周りにいる胞子のうはE.cloacaeが存在しているにもかかわらず発芽をしていることが観察された」としている。さらに、in vitroの実験で、「種子からの発芽促進物質の浸出は防除効果の劣る作物で多く、E.cloaceaによる発芽促進物質の分解速度も遅いことが明らかになった」という。生物防除効果の差は、「宿主種子からの発芽促進物質の浸出能力に依存」していることが明らかになった。
 さらに、足達太郎氏は、10件あまりの成果の中には「マメノメイガの個体数監視における合成フェロモンの利用」という項目があり、私の発表は少なくとも本シンポジウムの「成果」の一部として認知された、と報告している。次回のシンポジウムは、2004年に南アフリカ共和国で開催される予定。
なお、第16回報農会シンポジウム『植物保護ハイビジョン−2001』−植物保護における新世紀の方向性−は9月28日(金)、東京都北区の「北とぴあ」つつじホールで開催される。
〈連絡先〉(財)報農会事務局TEL・FAX:042−381−5455


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp