バイエル社(ドイツ・レバクーゼン)は、医療用医薬品事業を中核事業として維持していく。9月13日に開催した監査役会で承認したもので、このため、同社はヘルスケア事業部門をバイエルグループ内に新しく設立する独立会社に移管する予定。
また、予定されている農薬事業のアベンティス クロップサイエンス社の買収によって、収益性の高いもう1つの中核事業(農薬)を強化することになり、同社は世界の主要な農薬及びバイオテクノロジー企業の1つとなる。農薬事業においても独立会社を予定。
さらに、バイエルの経営委員会は高コレステロール血症治療薬「リポバイ・バイコール」の自主回収の直後、新たな状況に照らしヘルスケア事業部門の戦略を再検討、必要ならば複数の選択肢を準備すると発表している。
監査役会では医薬品事業の中期計画も説明されているが、大幅な後退の状況にも関わらず医療用医薬品事業は依然バイエル・グループの中核事業となっており、株主と社員のために企業価値の向上に大きく貢献できる、としている。目標達成に向け、修正戦略を採用する。
同社では、計画の第1ステップとして、必要な戦略的提携の柔軟性を拡大していくため、グループ内に独立部門を設立するが、「我々は新しいコースを決定したが、詳細なスケジュールを立てるにはもっと時間が必要」(シュナイダー社長)としている。
一方、農薬事業においてバイエルは、アベンティス クロップサイエンス社の買収についてアベンティス、シェーリング両社との交渉が9月末までに成功裏に終了するとみている。
アベンティス クロップサイエンス社とバイエルの農薬事業は、従業員委員会の権利を厳格に遵守し、反トラスト当局の承認を得た上で、バイエルグループ内の独立法人となる新会社に統合される予定。新会社は、世界の農薬市場で大手企業の1社となり、社員数は2万3000人、年間売上高が約70億ユーロとなる見込み。
今後、同社はヘルスケア及び農薬事業の組織改革に加え、グループの大規模な構造改革、収益改善対策を実施する。
既に実行に移されているコスト削減計画についてはこれを加速し、今年内に数億ユーロの節約を達成していくほか、これを2002年には10億ユーロに拡大、2005年からは年間18億ユーロを目指す。本計画には、世界の社員数4000人の削減も含まれている。
加えて、「リポバイ・バイコール」の回収後、医療用医薬品事業では、人員の再配分と削減といった大幅な調整が必要とされているほか、不動産、工場、設備への投資は減価償却水準に合わせて調整される予定。
この他、バイエル社のサービス機能は大きな相乗効果の達成のため、新たな「サイト・サービス部門」に統合される。この新部門は、現在のサイト・サービス、環境保全、安全部の機能と、中央技術部のユーティリティ、中央保守、建設の各セクションの機能とを統合し、2002年1月に設立される。人員は約7000人。