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アグリビジネス業界ニュース

さらに直販機能の強化を果たすべく
「ディーエーエス菱商」が始動
ダウ・ケミカル

スティーブン・タトル氏

スティーブン・タトル
代表取締役副社長

 ダウ・ケミカル日本(株)(スティーブン・タトル代表取締役副社長)は10月1日、ダウ・アグロサイエンス事業に関わる事業体制の変更とディーエーエス菱商(株)(旧・菱商農材(株))の社名変更を発表。世界で、ローム・アンド・ハース社(R&H)を買収したダウ。国内での直販体制を強化することにより、目標の第2段階をクリアした。
 一連の変更は、ダウ・ケミカル社の農薬部門であるダウ・アグロサイエンスがR&H(本社:米国・ペンシルバニア州)の農業化学品部門買収を本年6月1日に完了したこと、及び年初より進めてきた菱商農材株主との協力の促進に伴うもの。
 ダウ・ケミカル日本(株)は、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)と三洋貿易(株)の合弁会社であったアグリード(株)及びアルファス(株)の全株式を取得し、両社はダウ・ケミカル日本(株)の100%子会社となった。
 本年1月9日にダウ・ケミカル日本(株)が資本参加し39.4%の株式を保有していた菱商農材(株)は、9月28日に70000株の新株式を発行した。この新株式については、55000株をダウ・ケミカル日本(株)が、また、15000株を三菱商事(株)が追加出資し取得した。
 この結果、ダウ・ケミカル日本(株)の出資比率は全株式の51%、三菱商事(株)34%、大日本インキ化学工業(株)11%、三菱化学(株)4%となり、社名を9月28日付けで「ディーエーエス菱商(株)」と改名に至った。今回の増資で資本金は1億8000万円から3億2000万円に拡大している。
 今回の措置で、ダウ・ケミカル日本(株)より新たに36名が出向する新会社「ディーエーエス菱商(株)」は、販売組織の統合により一般農薬、緑化農薬の製品・原体及びバルクの販売を手掛ける。また、白蟻及び衛生害虫防除剤ビジネス、中間体およびバイオテクノロジー事業は、引き続きダウ・アグロサイエンス事業部門が担う。

 【解説】
 ダウ・ケミカル日本(株)が、農薬直販機能の強化を求めて10年以上の歳月が流れている。この間、他の外資系各社が先行して直販ルートを構築したことに対し焦りがあったことも事実。しかし、今回のR&Hの買収により製品ラインの拡充及び流通の強化を果たすこととなり、このことは農薬直販機能の強化に向けて大きな推進力となっている。
 直販ルートの構築に向けた、1月9日の39.4%の菱商への資本参加を第1段階とするならば、今回の51%という筆頭株主への昇格は第2段階のクリアと見られる。本紙の取材によると、アグリード(株)の取り込みは約1年後と見られ、これにより形式的には完結としての第3段階を克服する。
 全ての鍵は特約店会である「にしき会」(約80社)ルートの整合性にあり、これを持ってダウは初めて、「直販ルート構築」のスタートラインに立つことができる。




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