【レバクーゼン/ストラスブール10月2日】バイエル社は、懸案であったアベンティス クロップサイエンス社の買収を確定し、世界的農薬会社のリーダー的存在となる。
これは、アベンティス クロップサイエンス社の現在の株主であるアベンティス社(76%保有)とシェーリング社(24%保有)との交渉がこのほど完了したもので、買収契約が正式に完了したことによる。
買収価格は、予測される負債を含め約8000億円(72億5000万ユーロ)で、この現象はバイエル社にとって歴史上最大の買収となる。この新しく幅広い戦略的な統合により、農薬事業においては「バイエル クロップサイエンス」という社名の独立会社を設立する予定。
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ドイツ・バイエル社
マンフレッド・シュナイダー社長 |
ドイツ・バイエル社のマンフレッド・シュナイダー社長は、「アベンティス クロップサイエンス社の買収によって、バイエル社はクロップサイエンス分野で世界のリーダーの1社となり、その収益力を大幅に強化することになる」、と語っている。年間の相乗効果は約5億ユーロと見られている。
新会社「バイエル クロップサイエンス」の社長には、ドイツ・バイエル社のヨヘン・ウルフ農薬事業本部長が就任し、アベンティス クロップサイエンス社のベルトラン・メウー会長兼CEO(最高経営責任者)がウルフ氏と共に統合を進めていく。
統合後の新会社の年間売上高は、約7200億円から7700億円(65億ユーロから70億ユーロ)となり、マーケットリーダーに肉薄してくるものと推測される。事業内容は、全ての農薬分野をはじめ、バイオテクノロジー、種子の分野を網羅している。
統合の準備は既に開始されているが、これらの周辺についてウルフ事業本部長は、「世界の顧客に卓越した商品を提供できるよう、現在両社がもつ強味を統合していきたい。売上利益率は、2005年には20%に達する予定である」と述べている。
新設の「バイエル クロップサエンス」は、本社をドイツ・モンハイムに置き、アベンティス クロップサイエンス社のリヨン(フランス)とフランクフルト(ドイツ)の2拠点は今後も新会社の重要拠点として機能していく。
なお、注目したい遺伝子組み換えトウモロコシの「スターリンク技術」とそれに関わる全ての予想債務は、今回の買収から除かれアベンティス社に残るため、バイエル社はこの関連で予想されるいかなる損害賠償責任を負うことは無い。
バイエル社は、研究開発を基礎とする世界的なグループで、ヘルスケア、農業関連製品、高分子材料、化学品をその中核事業としている。全世界で122000人の従業員を擁し(2000年)、売上高約3兆1000億円(310億ユーロ)、純利益約1800億円(18億ユーロ)を達成した。2000年の設備投資は約2600億円(26億ユーロ)、研究開発費に約2400億円(24億ユーロ)を投入している。