石原産業(株)は10月17日、新規殺虫剤「IKI−220」(開発コード名)の開発及び販売で米国FMCコーポレーション(総本社:シカゴ)と提携することで合意に達し、契約調印したと発表した。欧米での拡展により、不動の農薬事業成長路線を築く。
「IKI−220」(一般名:フロニカミド)は、石原産業(株)が自社開発したトリフルオロメチルニコチル・アマイド系の殺虫剤。その作用機作は、吸汁害虫の摂食活動を即効的に阻害し、運動能力を低下させることで致死に至らしめるというもの。
本剤は、低薬量で浸透移行性及び残効性に優れていること、他剤との交差抵抗性が認められないこと、などが大きな特長となっている。加えて、天敵など有用昆虫に対する影響が少ないことから、生物農薬との体系防除技術にも貢献するといったことも魅力。
重ねて、本剤は吸汁害虫の摂食活動を即効的に阻害する作用機作を有するが、多くの対象害虫の中で、特にアブラムシに対して高い活性を示す点が指摘でき、さらに白アリ駆除にも期待されている。
石原産業(株)では、「IKI−220」について数年後の農薬登録取得を待ち、日本及び欧州では2004年に、北・南米においては2005年を目処に販売展開に入りたい考えであり、5〜6年後の成熟期に世界市場で年間約70億円の売上高を見込んでいる。
同社では、コア事業となっている農薬事業において、21世紀の最初の10年間で業容を現在の370億円から600億円強に倍増させる「第2次成長期」に挑戦しているが、その礎には海外マルチナショナル企業との提携があり、昨年には殺菌剤の開発においてBASF社との提携をはかっている。
FMC社は、殺虫剤とスペシャリティー分野(非農業分野)に特化して特徴ある事業を展開しているが、同社はピレスロイド系及びカーバメート系殺虫剤で強力な市場基盤を築いており、今回の「IKI−220」の世界的な展開は両社の農薬事業に求心力を生むことになろう。