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アグリビジネス業界ニュース

減少傾向に歯止め掛からず平成13農薬年度出荷概況
―農薬工業会―

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 農薬工業会(山本佳彦会長、84会員)は11月15日、東京都中央区の日本橋倶楽部会館において記者会見を行い、『平成13農薬年度出荷概況』(年度末実績)を発表した。
 それによると、平成13農薬年度の出荷実績は、数量で27万9000トン(前年比94.5%)、金額では3565億円(同98.2%)となり、数量ではやや、金額でわずかに減少となった。全体として穏やかな1年とも見られるが、減少傾向に歯止めは掛かっていない。
 当年度の病害虫の発生動向等を整理しておくと、北日本を中心に葉いもち病、穂いもち病の発生が見られ、全体的にいもち病の発生は昨年より多かった。また、ウンカ類は比較的多い飛来が見られたが、予防粒剤の普及もあり本田での発生は少なかった。
 また、大豆及び果樹のカメムシ類、野菜畑作のハスモンヨトウも高温、少雨の影響で昨年に引き続き発生が多く見られた。水稲の作況指数は、全国平均で103の「やや良」となり、収穫量は904万7000トンが見込まれているが、前年に比べて43万トン程度減少している。作付け面積は6万3000ヘクタール減少し、170万ヘクタールとなった。

表1

 『平成13農薬年度出荷概況』について、先ず使用分野別に見ると果樹(100.9%)、分類なし(103.3%)の金額が前年を上回ったほかはすべて減少した(表1)。また、種別では植調剤(103.3%)の金額が増加したほかは、全て減少した。殺菌剤、混合剤の数量の落ち込みは水稲での減少が大きく影響した(表2、円グラフ)。さらに、剤型別動向では数量(108.3%)、金額(106.1%)ともゾル・フロアブル剤がかなり増加し、次いでその他剤(数量100.6%、金額105.1%)も増加したが、それ以外の剤型はすべて減少した(表3)。

グラフ1
グラフ2
表2
表3

 次に、平成9年度を基準(100%)として過去5年間の推移を見ると、数量では全体として減少傾向で推移している。特に水稲の落ち込みが大きいが、これは1キロ剤、フロアブル剤、ジャンボ剤等による軽量化、箱処理剤等の普及拡大、減反の強化、防除回数の減などが背景にある(表4)。また、金額では野菜畑作及び分類なしは横這いで推移しているものの、全体としては過去5カ年間減少傾向が続いている。これはその他及び水稲の減少が影響している(表5)。

表4:過去5カ年間の推移・数量(千トン)
表4
表5:過去5カ年間の推移・金額(億円)
表5

 本年度の特徴を総括すると、先ず春先から高温、少雨のため水稲の斑点米カメムシ類、果樹のカメムシ類、野菜・花卉のハスモンヨトウ等害虫の発生が顕著であった。また、箱処理剤の普及率は高まったものの、実処理面積は前年を下回った他、単剤から混合剤へ、2種混合剤から3種混合剤への移行が一層進んだ。さらに、水稲一発処理除草剤ではフロアブル剤、1キロ剤、ジャンボ剤等が伸長し、軽量化が進展している。その他、水稲除草剤が数量で前年並み、金額で前年を上回った。特に数量、金額ともに中期剤が伸長している。 

グラフ3


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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