シンジェンタは1月17日、殺虫剤「エビセクト」(一般名:チオシクラム)を日本化薬(株)とアリスタライフサイエンス(株)の2社に売却すると発表した。同社は世界的に、主力製品に集中する戦略を打ち出しており、今回の売却もこの路線に沿ったもの。
シンジェンタが今後注力していく殺虫剤は、ネオニコチノイド系殺虫成分チアメトキサムを含む殺虫剤の「アクタラ」で、園芸分野には既に上市済み。水稲用には、ピロキロンとの混合剤、アシベンゾラルSメチルとの混合剤の登場を待ち本格的に市場投入される。
今回の「エビセクト」は、主に野菜、サトウキビ、花卉を対象に使用されている殺虫剤。自然物由来の殺虫成分から誘導されたもので、環境保全と持続可能な農業を目指す農家に適したもので、日本をはじめアジア、中近東、ラテンアメリカで販売されている。
2社への売却について、シンジェンタ ジャパン(株)のデニス・ターディ社長は、「この製品に非常に詳しい両社に売却することが出来て大変喜んでいる。今回の売却は、製品ポートフォリオを合理化し、利益率の高い製品に注力するというシンジェンタの戦略に沿ったもの」、と語っている。
改めて、「エビセクト」は1975年に上市され、ラテンアメリカ、中近東、欧州の一部、日本などアジアで市場を形成しており、2001年の世界での実績は約650万ドルとなっている。1984年から日本化薬(株)が旧サンドより委託を受け生産してきた。今後も引き続き、同社鹿島工場で原体生産が行われる。
なお、国内流通は単剤の「エビセクト」が主に三共(株)を通じて販売されており、同社への供給は今後も継続される。
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