報農後援会(佐藤仁彦会長)発行の『ろまん報農第23号』がこのほど発刊された。今回より、これまで編集委員長として尽力してきた塩澤宏康氏がJICAの仕事でインドネシアに数年間赴任となり、その後を継いで本号より米山勝美明治大学農学部教授が編集委員長となっている。
本号では、先ず小島誠新潟大学農学部教授が『今こそ教育を』のタイトルで、植物病理学者の立場から昨今の大腸菌事件や狂牛病騒ぎなどを例に、病気発生のグローバル化に対処した植物保護教育のあり方について巻頭言を寄せた。病害に対する考え方を、抜本的に再考しなければならないとした。
また、牧野孝宏静岡県農業試験場植物バイオプロジェクトリーダーが『生物フォトン学会に出席して』のテーマで、その研究発表の概要と講演要旨を報告した。同学会は、国際生物物理研究所のAlbertFritz Popp(ポップ)氏が中心となり、欧州、旧ソ連、中国の研究者等によって組織されている。生物から発生する光(生物フォトン)に関する基礎研究が中心で、特に細胞間の情報伝達が光によって行われていることを立証するための研究が盛ん。
さらに、東京農工大学大学院連合農学研究科(生物生産学専攻)の務川重之氏が、イスラエルで開催された『第34回国際無脊椎動物病理学会』報告を行っている。この中で、ゲノム解析を行うという同様の手法を用いた研究発表においても、その先の展望を見据えて発表されているものと、ただ解析した結果のみを発表しているものが見られたとしている。研究にあたっては、「目的を明確に持ち、筋道を立てて実験を行うことの重要性を強く認識させられた」という。
『ろまん報農』ではその他、『第16回報農会シンポジウム』講演要旨等を一挙に掲載している。
なお、第17回報農会シンポジウム『植物保護ハイビジョン−2002』は、平成14年9月27日(金)、東京都北区王子の「北とぴあ」つつじホールで行われる予定。
|