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(株)東洋精米機製作所 雑賀慶二社長
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関西の大手生協「大阪いずみ市民生協」では3月7日、8日の両日、卸、生協、産地関係者等を集め、「第2回産地交流会」を開催した。
この催しは、全農パールライス西日本(株)、(株)大阪第一食糧、(株)ベイハン、伊丹産業(株)、(株)トーヨー食品の米穀卸5社が主催し、昨年から始められたもので、今回が2回目の開催となる。産地からも全農県本部、経済連、農協、生産者等が参加。生産者・販売業者それぞれの立場で活発な討議が繰り広げられた。
冒頭挨拶に立った、大阪いずみ市民生協の伊藤商品本部長は「今や消費者は、食に対して不安感から不信感を持つようになった。しかし消費者は、どこかで食材を買い求めなければならず、それだけに我々の責任は重い。大阪いずみ市民生協では、より一層、安全で安心、信用ができ、しかも基準がある商品づくりを目指して行きたいと考えている。この秋には無洗米の濁度基準も設けたい」と信頼される商品づくりにかける思いを語った。
続いて(株)東洋精米機製作所の雑賀慶二社長が「無洗米の開発目的・意義」のテーマで講演、「私は、米のとぎ汁による汚染をなくすために無洗米を開発したが、世界に先駆けて完成させた水洗式無洗米では、とぎ汁処理の問題が解決できず、その後BG無洗米を開発した。私が掲げた目標を達成するためには、全ての米を無洗米に替えてしまう必要があるが、その無洗米は従来の米と比べてマイナス点があってはならない。その点、BG無洗米は糠で糠をきれいに取ってしまうので、うま味部分が残っているのでおいしさでもマイナス面が無い。それが消費者に受け入れられている要因であり、今後も目標達成のために努力していきたい」と述べた。
また、「大阪いずみ市民生協が、BG無洗米の取り扱いを始めてからこれまでの間、既に大型ダンプカー10〜20台分ものヘドロが削減されている。これは大きな環境貢献だ」と語った。廃物利用にも話が及び、「これからの産業は、自社の商品を生産する際に出る廃棄物は、自社で処理すべき。BG無洗米の生産ではすでにこれを実践している。BG無洗米製造の際に除去された肌ヌカは、「米の精」として生まれ変わり肥料や飼料として有効に活用されている。特に肥料として活用すると、有機物を活性化させるための起爆剤となるほどの大きな効果があり、今後ますます需要が高まるだろう」と講演を締めくくった。
パネルデスカッションでは、ホクレン米穀販売室室長・鈴木雅美氏、大阪第一食糧業務部長・市丸勝一氏、大阪いずみ市民生協商品部生鮮食品課米穀担当・野中正規氏、東洋精米の雑賀慶二社長がパネラーとして参加、伊丹産業取締役米穀部次長・武田孝則氏の司会で「現在米業界に求められているもの」をめぐり、安全な米商品づくりのための取り組みについて討議が繰り広げられた。
その中で、米の安全性について雑賀社長は「米の安全性の基本は何よりも水分である。食総研が公表しているように15%を超えると一気にカビが生えやすくなる。それなのに国の基準は16%以下となっているが、我々は水分15%以下を厳守しなければならない」と力説、ホクレンの鈴木室長は「ホクレンでは既に、14.5%±1%を基準にしており、安心して使っていただける」と述べた。さらに司会者が「我々も幾度となくカビ問題で苦労してきた。今後は15%以下の米の取り扱いを厳守していこう」と結論づけ、参加者の賛同を得てデスカッションを終了した。
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