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アグリビジネス業界ニュース
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「ラウンドアップ」など |
日産化学工業(株)(藤本修一郎社長、本社:東京都千代田区)は5月30日、農業化学大手の米モンサント(ミズーリ州)の日本での農薬除草剤事業を買収すると発表した。農薬を中核事業とする日産化学工業(株)と種子、植物バイオに特化したい日本モンサント(株)の思惑が一致した。 買収内容は、世界的にトップシェアを誇る「ラウンドアップ」など日本モンサント(株)(山本徹也社長、本社:東京都港区)が手掛ける農薬除草剤事業で、7月1日より日産化学工業(株)が日本での販売権を全面的に引き継ぐ。買収金額は明らかにされていないが、業界では80億〜90億円と見ている。 非選択性の茎葉処理剤「ラウンドアップ」は、1970年代後半からの市場展開以来、その優れた活性や環境への安全性が高く評価され、この分野のトップブランドに成長。この間、約30%の価格引き下げが実施されているが、現在も日本国内において80億円強の売上高を堅持し、揺るぎない地位を確保している。 今回の買収は、農薬事業を中核事業とする日産化学工業(株)の路線を改めて鮮明にしたものと受け取れる。同社は、かつて石油事業で苦労した経験を持つが、一方では世界的なビジネス展開も積極的に行い、世界に通用する新しい創造性とパワーを秘めていることも事実。 同社の農薬事業において、水稲用除草剤の「シリウス」(有効成分:ピラゾスルフロンエチル)は、厳しい市場環境の中で独自の地歩を築く布石となった。今回の「ラウンドアップ」等を自社製品として戦列に加えることで、激戦の続く国内農薬市場における存在感をいっそう盤石なものとすることになる。対売上げ増の効果は約80億円に達する模様。 なお、日産化学工業(株)はアベンティス クロップサイエンスより、「ラウンドアップ」の競合製品である「バスタ」において国内販売の一部を委託されており、今後の協議が注目される。さらに、同社では日本モンサント(株)から人員を一部受け入れて、営業力の補完及びマーケティング力を一層充実していく。 |