JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

アグリビジネス業界ニュース

低いスーパー食品売場の顧客満足度

 スーパーマーケットの食品売場に消費者は満足していないという調査結果を特定非営利活動法人(NPO)ビュー・コミュニケーションズが発表した。
 この調査は、昨年10月に、東京・千葉・埼玉・神奈川のスーパーマーケット食品売場83店舗(分析対象80店舗)の来店客を対象に実施された「顧客満足度調査」で、30項目の質問に10点満点・4段階複合評価尺度で(グラフ参照)回答(無記名)するもの。

 
 この調査によると、スーパーマーケット食品売場の顧客満足総平均点数は67.7点で、同法人が設定している「満足」の基準である70点を下回っている。これは、同法人が実施した他の業態の顧客満足度と比較すると、リゾートホテル77.0点、シティホテル76.0点、ビジネスホテル73.1点、美術館69.6点を下回り、パーラー(遊技場)63.3点、フィットネス64.8点に次ぐ低い満足度となっている。
 項目別にみると、満足度が70点を超えているのは、「交通の便」「営業時間」「売場の清潔感」「売場の雰囲気」「かごやカートの数や使いやすさ」の5項目で、いずれも立地条件や売場の環境に関するものばかりで、肝心の商品に関わる項目はいずれも70点以下の「不満」となっている。とくにスーパー食品売場の基本的な役割ともいえる「商品の価格」(61.2点)と「品揃えの幅(種類や季節感)」(64.5点)で満足度が低く、店舗別にみても価格で70点を超えた店舗は1店もなく、品揃えでは数店しかなかった。また「情報提供」「店員の商品知識」「賞品の表示」「商品の安全性」など消費者への情報発信に関する項目でも満足度が低くなっている。
 さらに、総売場面積が3000平方メートルを超える店舗で、満足度が70点以上の店舗は1店もなく、「大型店舗の顧客満足度が伸び悩んでいる傾向がみられる」としている。
 こうした傾向は、年代・来店頻度・利用金額・購入商品などの属性別にみてもほとんど差がなく、「それほど大きな期待もせずに、近くにあるから便利という理由だけで惰性で利用している傾向も強い」ので「別の便利な手段が登場することで、容易に利用しているチャネルをスイッチしてしまう危険性を示して」おり、「今後は顧客に対してどのようにして付加価値を提供できる、という観点での店舗づくりが必要」だと「調査のまとめ」で述べている。
 この調査結果を、食料品を供給している生産者サイドがどう考えるのかは難しい問題だが、効率化を求めて画一的で均質な供給では消費者から受け入れられなくなってきていることが示唆されているのではないだろうか。効率化は生産や流通サイドの問題で、消費者が必ずしも求めていることとはいえない。むしろ、消費者やスーパーなど小売サイドとのコミュニケーションを密にした、きめの細かい供給が求められているのではないだろうか。

顧客満足度調査


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp