世界のアグリビジネスをリードするシンジェンタの100%子会社、(株)トモノアグリカは9月17日、同社が保有するカワイ農産資材(株)の発行済株式67.5%を、日産アグリ(株)に譲渡すると発表した。カワイ農産資材(株)の売上高は、年間約6億円。
カワイ農産資材(株)(奈良久雄社長、本社:青森県弘前市)は、1970(昭和45)年に設立された農業用資材の販売会社で、30有余年の歴史を持つ。資本金1000万円。青森県南部に事業基盤があり、果樹地帯を中心に特異的な販売戦略を展開している。
一方、日産アグリ(株)(高橋荘二社長、東京都千代田区)は、2001(平成13)年10月に日産化学工業(株)肥料部門と日産丸紅商事(株)が統合して設立された肥料の製造・販売会社。資本金9億8000万円。日産丸紅商事(株)がこれまで培ってきた農薬事業、ゴルフ場グリーンビジネス事業、農産物集荷販売事業とも連携を強め「NISSAN AGRI for Agriculture」を進めている。
シンジェンタ ジャパン(株)は、(株)トモノアグリカの資産売却を加速している。8月9日に日本農薬(株)への有機銅剤(人員8名を含む)の譲渡及び島田工場の閉鎖、トモノビル(静岡市)の売却(約5億円)、そして今回のカワイ農産資材(株)の株式譲渡と続く。
今回の件は、シンジェンタ ジャパン(株)、カワイ農産資材(株)、日産アグリ(株)の協調路線の結実と見られる。業界再編および流通の変化に、柔軟姿勢で臨む3社の思惑が一致した。
特に、日産アグリ(株)にとっては、東北地方での肥料事業基盤をより強固なものにすることになり、流通戦略として同社の積極攻勢をみることができる。ただし、主力の臭化メチルおよびその代替剤、さらにクロルピクリンへの対応を迫られていることも事実であり、この1〜2年の同社の動向が注目される。
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