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アグリビジネス業界ニュース

安藤(株)農薬販売部門を買収
農薬卸はどの形態で生き残っていくのか

―カネコ種苗―


 種子などの生産販売、花き園芸用品・農薬・農業資材の販売を主な事業としたカネコ種苗(株)(金子才十郎社長、本社:群馬県前橋市)は11月6日、2003年1月1日付けで医薬品の販売を主業とし農薬販売事業を兼営する安藤(株)(安藤震太郎社長、本社:群馬県高崎市)の農薬販売部門を買収すると発表した。
 安藤(株)の農薬販売部門は、群馬県下一円と埼玉県・栃木県および茨城県を販売エリアとしており、地域密着型の販売展開をはかっている。今回の買収によりカネコ種苗(株)は、当該販売地域へのシェアアップによる競争力の強化、販売金額の増加、営業効率の向上、顧客ニーズへの対応力の向上をはかり、業績のアップがはかれることになる。
 カネコ種苗(株)では、買収による今後の業績への影響見込額として、売上高を平成15年5月期11億円(総売上高439億円)、平成16年5月期21億円(同471億円)、また、経常利益を平成15年5月期2000万円(総経常利益13億5000万円)、平成16年5月期2000万円(同15億円)とそれぞれ見通している。
 このところのカネコ種苗(株)の業界再編への動きは極めて顕著だ。本年5月には岩渕農薬(株)(千葉県佐倉市)との包括的な業務提携を発表、また、9月には(株)アスカム(宮城県仙台市)の農薬事業買収を発表し、今回の安藤(株)農薬販売部門の買収に至る。業界の一部には、「カネコ種苗(株)1社の拡大路線は業界全体のためにならない」との声もあるが、「(拡大路線は)こんなものでは済まない」との声が大勢を占めている。
 農薬卸はいま、引き続く農薬需要の縮小傾向の中で生き残り戦略を模索している。今後の農薬卸の形態は「広域型」、「地域密着型」、「小売り指向型」に大別できるが、各農薬卸がどの形態にシフトしていくかの結論を出すまでの時間は、そう多くはない。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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