(社)日本農業機械化協会は2月18日、馬事畜産会館会議室で平成14年度第4回農業機械化情報研究会を開催した。
研究会では、地球温暖化問題をテーマに、農林水産省大臣官房企画評価課・技術調整室長の嘉多山茂氏が「近年の気象と農作物の生育に及ぼす影響について」講演した。
次いで(社)日本農業法人協会参事の栗毛野伸一氏が「農業法人の現状と今後の動向について」をテーマに講演した。それによると農業生産法人数は、平成14年1月1日現在で、農事組合法人1,582、有限会社4,920、合資会社22、合名会社6、株式会社17の計6,547法人にのぼる。
しかし、収支を見ると3分の1の法人が赤字となっているという。農業生産法人数は今後も増えていき、農業生産における役割は大きくなっていくものと考えられるが、厳しい側面もあると語った。
最後に全農生産資材部農機第一課の藤間則和氏が「韓国における農業用トラクターの動向について」を講演し研究会を締めくくった。
韓国でトラクタを生産(販売)しているメーカーは5社あるが、いずれも日本・欧米メーカーからの技術提供を受けていた経過があり、価格は国産同馬力トラクタの半額程度と推定されるものの、性能・機能とも劣っており、安全性に不安があり、部品供給体制も整備されていないなどの問題から、全農としては取り扱いは困難と判断してきた。
しかし、JAや農家から韓国産トラクタの取り扱いに対する問い合わせが増えていることがあり、平成14年に生研機構・長野農試・全農営技センターの3カ所で、輸入した韓国産トラクタ「Branson」28馬力の性能、操作性、安全性など総合的試験を行ってきた。
その結果、次のような結論に至った。国産トラクタの技術水準からは遅れており、ユーザーニーズとの乖離が大きい。部品供給や道路走行上の問題などがあり、輸入の諸費用などを考慮すれば価格優位性に乏しいことから、国内供給を積極的に位置づけるのは困難とした。
しかし機械の不具合箇所の改善や、部品供給体制の整備などがなされる場合は、選択肢の一つとして考えられるとの見方も残した。 (2003.2.20)
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