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アグリビジネス業界ニュース

無洗米の環境保全効果 (財)日本土壌協会が確認
―全国無洗米協会―


 財団法人日本土壌協会(熊澤喜久雄会長理事・東京都千代田区)は、このほど「無洗米と普通米の環境影響評価」の調査結果を発表した。
 それによると、無洗米使用による環境保全効果を、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント:製品の評価を原料の調達から加工、製品・廃棄に至る全ての過程で生じる環境負荷を、分析して行う手法)の面から調査したところ、普通精米を研いでそのとぎ汁を下水処理場などで汚水処理している現状に比べ、無洗米の使用は、環境保全にとって有効なことが確認された。
 なお、この調査は、無洗米製造に必要なエネルギーの使用量などが、詳しく開示されているBG無洗米を対象に行われた。
 無洗米の環境保全効果については、しばしば「無洗米はとぎ汁公害もなく、節水にもなるなど、環境に良いと言われるが、製造過程で使うエネルギーなどを考えると、どうなのか」という疑問が呈されてきた。しかし今回の調査により、無洗米は普通精米に比べ、製造過程を考慮しても、なお環境保全に有効なことが確認されたことになる。
無洗米・普通米のライフサイクルフロー

 ◎調査結果の要点
 1.米のとぎ汁には、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)、SS(浮遊物質)、窒素、リン、油脂分(n−ヘキサン抽出物等)などの汚濁物質が多量に含まれていること。
 2.下水道処理場では、BOD、COD、SS、油脂分はほとんど除去されるが、赤潮やアオコの原因である窒素、リンについては、多くの部分が処理できずに放流されること。
 3.無洗米を一度軽く洗った後の排水と、普通米のとぎ汁を下水処理した排水とを比べると、無洗米の方が汚濁物質が少ないこと。当然、無洗米を洗わずに使用すれば、汚濁物質は排出されない。
 4.無洗米製造に必要なエネルギー使用量は、普通精米のとぎ汁を下水処理したときより、少なくてすむ。
 5.さらに、肌ヌカ処理まで含めた(有機質肥料や飼料に加工し有効利用する)エネルギー使用量は、普通精米を研いだときに出るとぎ汁を下水処理したときとほぼ同量であり、無洗米の方が、エネルギーを有効利用していること。
 6.無洗米は、上水の節約になること、など。

 今後このLCA調査は、無洗米製造時に「副産物」として取れる肌ヌカ(普通米の場合は、とぎ汁として流されていたヌカ分)の有機質肥料などへの有効利用と、それに匹敵する化学肥料の製造エネルギーとの比較などの調査が行われる予定だが、それによりさらに明白に、無洗米の環境保全の有効性が確認されるものと推察される。
 首都圏では、すでに2割以上の消費者が無洗米を利用しているが、この背景には利便性だけではなく、環境にやさしい商品を購入しようとするグリーンコンシューマー増加の影響もうかがえる。
 この件に関する問い合わせは、下記まで。

 特定非営利活動法人 全国無洗米協会 
   水野謙爾 事務局長

 TEL    03−3221−6271
 e−mail  mizuno@musenmai.com
 URL    www.musenmai.com  

(2003.9.10)

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