バイエル クロップサイエンス(株)は9月24日、東京都目黒区のウェスティンホテル東京において記者会見し、世界的に買収後の事業が順調に推移していること、国内においては新農薬年度より営業本部体制で臨むことなどを明らかにした。
2002年6月初旬に行われたアベンティス クロップサイエンスの買収は、約140年のバイエル史上最大の案件だった。「市場平均より高い成長を果たし、世界で主導的なクロップサイエンス会社を目指す」と独バイエル クロップサイエンスAGのヨッヘン・ウルフ社長は改めて今後の戦略を語った。
同社は、世界の農薬市場の成長率を年2%と推定しており、この背景下、バイエル クロップサイエンスは年4%の売上増加を目指している。新規製品も豊富で、2001年〜2005年の間に14有効成分を市場投入し、2006年までに8億ユーロ(1064億円、1ユーロ・133円換算)以上の売上に貢献するものと見ている。
「非常に厳しい市場環境にあるが、買収後の事業も順調に推移し、農薬、エンバイロメンタルサイエンスおよびバイオサイエンスの全事業部門において業績を伸ばした」とウルフ社長。2003年上半期業績も買収効果により順調に伸展し、売上高が66%増の32億2800万ユーロ(約4293億円)を達成した。
同社は、「統合プロセスの一環として、利益率を向上するため種々の施策に取り組んでいる」(ウルフ社長)ことから、2006年までに年間5億7000万ユーロ(約758億円)相当のシナジー効果を見込んでいる。また、R&D(研究開発)投資も年間7億ユーロ(931億円)におよび、この分野でも主導的役割を担っている。
一方、日本バイエルアグロケム(株)とアベンティス クロップサイエンスシオノギ(株)の営業組織を継承し2営業体制を敷いてきた同社は、新農薬年度(10月1日)より営業本部体制で臨む。この営業本部には、他の部門にあった原体営業部および輸出グループも統合される。注目の営業本部長には小澤江氏(現農薬営業第2部長・アベンティス製品担当)が、営業副本部長には新里邦洋氏(現農薬営業第1部長・バイエル製品担当)が、それぞれ就任し新体制を牽引する。
営業本部内には、推進グループおよび販売グループが置かれ、的確かつ幅広い推進・販売が展開される。今回の組織改革の周辺で注目されるのは、系統の一層の強化に向けた取り組みで、系統一元品目の拡大、現場での技術普及活動および防除暦対策などを強化していくことだ。
研究体制も、現在3カ所にある研究拠点を年内に結城中央研究所に集約するほか、防府工場にバスタ液剤の製剤工場を完成させ年度内の生産開始を目指す。平成15〜平成16農薬年度に上市(予定含む)の製品も9剤に上り同社の勢いは止まりそうもないが、今後の展開は技術普及活動および防除暦対策など現場での掘り起こしが鍵になりそうだ。
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ヨッヘンウルフ社長 |
ローレンス ユー社長 |
記者会見より(9月24日) |
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