BASF社とアグロカネショウ(株)の子会社であるカネショウ・ソイル・トリートメント社(以下、KST)は10月31日、BASF社が世界に展開する農業用土壌処理剤ビジネスをKSTに6500万ユーロ(約83億円)で売却することに合意したと発表した。
売却対象となるのは、農薬原体ダゾメット、ジクロロプロペン、メタムソジウムで、付随した関連契約、登録権、知的財産権、顧客関係なども含まれている。同事業の2002年の売上高は4700万ユーロ(約60億円)におよんでおり、BASFはダゾメットの製造を続けKSTに供給する。
日本において、ダゾメットはバスアミド(商系)およびガスタード(系統)、ジクロロプロペンはD−DとしてBASFアグロ(株)が原体の供給および製品の販売を行ってきたが、今後はアグロカネショウ(株)がこれらのビジネスを引き継ぐことになる。
これについてBASFアグロ(株)のブラウン社長は「アグロカネショウは日本の生産者に向け過去23年間にわたりバスアミドの普及販売を手掛け高い実績を残し、農業用土壌処理事業に精通している。今後も顧客のビジネスの成功に貢献してくれるものと確信している」と述べている。
また、アグロカネショウ(株)の櫛引博敬社長は「今回の契約は当社の農業用土壌処理事業を世界規模で拡大するための重要な戦略的ステップとなる。当社は、顧客価値と独自のマーケティング戦略に重点を置いているが、今後はこれまで蓄積してきたスキルとノウハウを海外市場に適用することで、土壌処理事業分野を拡大することが出来ると考えている」と語っている。
ダゾメットのうち、バスアミドは「技術販売」を戦略・戦術としたアグロカネショウ(株)が育てたものだ。今後は、海外展開および国内における日本曹達(株)、クミアイ化学工業(株)、北興化学工業(株)とどうすり合わせを行っていくかが鍵になるが、同社が生き残り戦略に出たことは間違いない。
なお、本件に関しては、11月5日東京都千代田区永田町の「薬業健保会館」において2社による共同記者会見が予定されている。 (2003.11.4) |