農薬工業会(多田正世会長、東京都中央区・77会員)は11月13日、東京薬業会館において記者会見を行い、『平成15農薬年度(2002年10月〜2003年9月)出荷概況』を発表した。農薬取締法改正なども影響し出荷数量、金額ともに減少。メーカーは、より一層の合理化を求められることになる。
病害虫の発生は、最近の暖冬傾向が見られず平年並みに推移した。ただ、梅雨明け以降の低温、日照不足からいもち病の発生が多めとなった。ウンカ類は、セジロウンカを中心に多飛来となっている。果樹カメムシ類の発生は、東海、関東で指摘された。
水稲の作柄は、作況指数90の「著しい不良」となり、収穫量は前年に比べ109万5000トン程度減少、作付け面積も2万3000ヘクタール減少し、166万ヘクタールとなっている。これらの状況下、本年度の農薬出荷実績は、数量で25万トン(前年比96.9%)、金額で3235億円(同96.5%)となり、数量、金額とも減少した。
本年度の特徴を見ると、いもち病は警報5件、注意報34件が発表されているが、大発生した1993年を上回ってはいない。「箱処理剤の普及、穂いもち防除の実施・指導の徹底などが大発生とならなかった要因の一つ」(農薬工業会)と考えられる。その他、水稲一発処理除草剤でのジャンボ剤、箱処理剤での単剤の増加がそれぞれ指摘できる。
この1年、業界は無登録農薬問題から派生した農薬取締法改正の周辺で、大きく揺れた。マーケットサイズ縮小のなか、業界はより一層の合理化を求められることになる。国内において、合併・買収が加速する可能性は高い。 (2003.11.19)
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