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三菱電機株式会社(野間口有社長)は、三菱電機プラントエンジニアリング(株)(川崎宗男社長)と共同で、嫌気性消化処理<酸素のない環境で生育する嫌気性菌の消化分解活動を利用して、高濃度の有機物を含む汚泥処理を行う方法。有機物は最終的にメタンガスと二酸化炭素に分解される>による小型の畜産廃棄物バイオガスプラントを開発し、4月から全国の酪農家向けに事業展開する。
この畜産廃棄物バイオガスプラントは、嫌気性菌の消化分解活動を利用し、畜糞や食品残滓などから良質な堆肥・液肥を作ると同時に、処理の過程で発生するメタンガスを、プラントの保温や畜舎の給湯の燃料として利用するもので、西欧の酪農先進国では積極的に導入されている。
日本でも、平成16年11月より家畜排泄物処理法が施行されることから、導入の検討が始められているが、同社では、平成14年6月に第一号プラントを宮崎県都城市の搾乳牛40頭規模の酪農家に納入し、実証試験を行ってきた。
その結果、このプラントが実運用において順調に稼働し、処理能力の高さが確認された。同社は今後、同様のシステムを100頭・200頭規模に拡大し、シリーズ展開をしていく予定にしている。
またこのプラントは、搾乳牛だけでなく、肉牛、豚、馬などの畜糞や食品残滓などの処理にも応用でき、多方面の展開も考えられる。
このプラントの主な特長は次の通り。
◎農家単位で導入できるコンパクトな構造と価格
従来、小型の畜産廃棄物処理プラントは、技術的に難しく建設費用もかかるため、個人経営の農家が単独で導入するのは困難だったが、システムの中心となる消化槽内の撹拌ノウハウと、自動運転制御機器などの簡素化で低価格の小型プラントを実現した。(都城市の第一号プラントの建設費は3800万円だが、国・自治体から55%の補助金が付いた)
◎家畜の腸内にいる嫌気性菌にとって最適な環境を実現、この菌を繁殖させ活用するので、特殊な菌を加える必要がない。
◎処理プラントから取り出した畜産廃棄物は、刺激臭が少なくそのまま施肥できる。また固液分離機で分離した堆肥(固形分)は、数カ月寝かせると完熟堆肥になる。
◎処理プラントの加温・保温には、発生したメタンガス燃焼による温水を用いるため、大幅な省エネとなる。
◎電気的、機械的な駆動部は、すべて処理プラント外部に設置してあり、メンテナンスが容易である。
◎処理プラント内は、完全密閉で嫌気性を保っているため、雑草の種や雑菌などが死滅し、堆肥中の有害物が減少するなど。
この畜産廃棄物バイオガスプラントについての問い合わせは、三菱電機(株) 社会インフラ事業本部産業事業部 産業環境システムグループ。
TEL 03−3218−2589 FAX 03−3218−2741 (2003.4.3)
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