(株)農協観光の今年3月期決算は、旅行商品の低価格化などから取扱高が1.3%減の約1203億円、営業収益も同率の減少で約172億円にとどまった。業務の効率化や経費節減に努めたが、経常損失は1億5500万円で2期連続の赤字となった。しかし赤字幅は前期より少ない。当期損失は2億8300万円。次期繰り越し損失を約2億5000万円とした。
6月27日の株主総会で営業報告などを承認。また任期満了にともなう新監査役に菅原稔JAあきた湖東会長、岡山義弘(社)全国農協観光協会監事、山田俊男JA全中専務(以上再任)、粟野廣一総務部長(新任)を選任した。
事業概況によると、全国に約1万700あるJAの支店支所の中で、団体旅行の企画を立てる支店を増やしていく「1支店1企画旅行」などの営業を展開。
海外旅行では地方空港を利用したチャーター便の企画販売に努めた。また一昨年の米国同時多発テロで落ち込んだハワイ旅行を回復するキャンペーンを展開。さらに中国向け「四川省世界遺産の旅」をはじめ、ロシア、ニュージーランドなどへの企画を販売。取扱高は23.5%増の約229億円を確保した。
しかし国内旅行では不況などによる旅行の手控えやインターネットによるホテル・旅館などへの直接予約増大の影響もあり、取扱高が5.9%減となった。新型肺炎(SARS)禍という逆風もあり、海外旅行の伸びで国内旅行の落ち込みをカバーできなかった。
今期の見通しはSARSやイラク戦争の後遺症がないとされるロシア旅行などに期待をかける。また国内旅行では「1支店1企画」をさらに促進する。
ねらいは▽旅行意欲が根強い熟年・シルバー層▽学校の完全週5日制の定着▽祝日3連休の増加▽国土交通省主導による訪日旅行者倍増計画などだ。 (2003.7.3)
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