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井上克信社長 |
日本曹達(株)(井上克信社長、本社:東京都千代田区)は1月30日、4月1日をもって大日本インキ化学工業(株)(奥村晃三社長、本社:東京都中央区、以下DIC)のアグリケミカル事業を買収すると発表した。買収金額は、約90億円弱と見られている。
日本曹達(株)は、グローバルな事業展開の中で農業化学品事業をコア事業とし、これまで継続した研究開発投資を基盤に殺菌剤「トップジンM」、殺虫剤「モスピラン」、除草剤「ナブ」をはじめとする自社開発農業薬品を中心に事業を拡大してきた。
DICは、アグリケミカル事業に1962年に参入して以来、高い技術開発力とすぐれた製品をベースにその事業を拡大してきた。しかし、昨今の農薬業界の国際的な再編などから、今後一層の競争激化が予想される中で、単独での継続的な事業の拡大は困難であるとの判断から、売却の道を選択した。
売却内容は、DICのアグリケミカル事業で、同社が製造していた品目については、日本曹達(株)より製造委託を受ける。売却品目は、農薬は農園芸用殺菌剤、水稲用除草剤、芝用除草剤、芝用殺菌剤など、工業用薬剤は木材用防カビ剤、プラスチック用防カビ剤、塗料用防藻、防カビ剤、水系組成物用防腐剤など。
農薬の中心となっているのは、農園芸用殺菌剤の「ベフラン」、「ベルクート」で、特に「ベルクート」はプロの農家でなくても使い勝手がよく、広く愛用されている。殺菌剤にも豊富な経験を持つ日本曹達(株)だけに、この分野の品揃えを一層充実させることになる。また、除草剤原体の「ピリブチカルブ」も有力だ。
売却部門の売上高は、約60億円(平成15年3月期)におよんでいる。「今回の買収劇は、3年越しのもの」(業界通)との声もあるが、少なくとも3社が名乗りをあげていた。外資系企業再編の進捗の中で、国内は住友化学工業(株)を中心とする第1グループが地歩を固めつつあり、第2・第3グループ再編の動向が注目されていた。
(2004.2.2) |