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金額ベースで2年ぶりに回復 『平成16農薬年度出荷実績』
《農薬工業会》

  農薬工業会(多田正世会長、76会員)は11月12日、『平成16農薬年度出荷実績』(年度末実績)を公表した。本年度の出荷実績は、数量で24万4000トン(前年度比97.4%)、金額で3344億円(同103.0%)となり、数量ではわずかに減少し、金額ではやや増加した。
 今年の天候から見ると、7月中旬に北日本が低温になった以外は、6月から8月にかけて、ほぼ全国的に気温が高く、降水量が少なかった。ただし、8月中旬頃から、北日本および東日本で寒気の影響を受け、気温が平年を下回った。
 9月に入ると、前線の停滞や台風の影響により、曇りや雨の日が多かった。台風の日本への上陸数は10個と、1951(昭和26)年以降、最多となった。この台風では、水稲を中心に潮風害に見舞われたほか、果樹、野菜畑作にも甚大な被害をもたらしている。
 農水省が10月26日に発表した10月15日現在の水稲作況指数は「98」だが、本紙が全国のJAを対象に実施した緊急聞き取り調査では「95」となっており、厳しい年となった。
 病害虫の発生に目を向けると、越冬量は平年より多く、圃場での発生は平年より早く確認された。その後、平年より早い梅雨入り、梅雨明け、夏の高温などにより、一部の病害虫には好適な気象条件となり、多発生となった病害虫がみられた。
 これらの背景のもと、本年度の農薬出荷動向を見ると、先ず使用分野別での前年度比増減は、数量で果樹(100.9%)および野菜畑作(100.9%)が増加したほかは減少し、金額では分類なし(99.5%)を除く全ての分野が増加した(表1)。

表1

 また、種別での前年度比増減では、数量で、すべての種別が減少し、金額では、植調他(99.5%)を除くすべての種別が増加した(表2)。

表2

 さらに、剤型別動向では、数量で、ゾル・フロアブル剤(104.3%)、乳・液剤(102.2%)およびその他剤(100.1%)が増加し、粉剤・DL、粒剤および水和・水溶剤が減少し、金額では、粉剤・DL(93.6%)を除くすべての剤型が増加した(表3)。

表3

 一方、平成12年度を基準として過去5カ年間の推移を見ると、全体的に数量、金額ともに減少傾向にあるものの、金額で本年度は前年を上回った。
 減少傾向の要因としては、水稲での1キロ剤、ジャンボ剤などによる軽量化、箱処理用混合剤の普及による本田散布剤の減少などが考えられるが、「近年の食用農産物の安全性への関心の高まりに起因する複合要因も減少に影響している」(統計部会)こともあり、業界挙げての対応が必要だ(グラフ1・2)。

グラフ1
グラフ2

 本年度の特徴としては、箱処理剤では、昨年のいもち病の多発生を受け、出荷増となった。特に混合剤(118.5%)の増加が大きい。普及率も70.8%と増加を維持している。水稲用除草剤では、初期剤および中期剤が減少し、一発処理剤(102.4%)および後期剤(111.1%)が増加した。
 水稲一発処理除草剤では、昨年に引き続きジャンボ剤が金額で112.1%と大きく増加したほか、1キロ剤およびその他省力化製剤も増加した。3キロ剤、フロアブル剤および顆粒剤は減少している。

(2004.11.19)


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