(株)ニッソーグリーン(吉田源二郎社長=東京都台東区上野3ー1ー2)が、今春より市場投入している松枯れ防止のマツノマダラカミキリ後食防止剤『マツグリーン液剤』(製品名)は、その兼ね備えている数多くの優れた特長から、人気を不動のものとしている。
平成12年2月8日付で農薬登録を取得した『マツグリーン液剤』(有効成分=アセタミプリド・・20・0%)は、低薬量でマツノマダラカミキリに対して優れた殺虫効果を示し、虫体麻痺と忌避的効果で長期間後食を防止する、新しい作用(ネオニコチノイド系)の殺虫剤として颯爽と登場した。
新枝への浸達性に優れ、しかも樹皮や樹内で安定するため、効果が長期間持続する魅力の他、散布後のいやな臭いや汚れがほとんどなく、薬剤飛散による車の塗装や墓石の変色・汚染等がほとんどないことなど、周辺環境への影響が少ない薬剤となっている。
『マツグリーン液剤』のアカマツ2年生枝を薬液に1秒間浸漬処理した基礎殺虫活性試験結果は、【表1】の通りである。明らかに、本剤は高濃度では致死効果を示し、致死量に至らない低濃度では虫体を麻痺させることにより、後食を阻害している。
有効成分濃度 (ppm) |
3.125ppm |
6.25ppm |
12.5ppm |
50ppm |
200ppm |
2,000ppm |
後食痕を残した頭数 |
6 |
4 |
4 |
0 |
0 |
0 |
後食面積 (cm2) |
1.0〜2.0 |
0.5〜1.0 |
0.2〜0.8 |
0 |
0 |
0 |
全頭死亡までの日数 |
11日以上 |
11 |
11 |
4 |
4 |
1 |
また、マツノマダラカミキリ防除試験の結果は、【表2】の通りとなっている。後食個所数・後食面積とも薬剤間の差はほとんどなく、無処理区との間に格段の差が認められている他、枯損は無処理区のみに現れたため(88・9%)、本剤(1000倍)はMEP乳剤(180倍)と57日間は同程度の効果が有ることが明らかとなっている。
薬 剤 |
希釈倍数
(倍) |
散布後の後食痕面積(cm2)と後食個所数( )内 |
合計 |
枯損
(%) |
線虫
検出 |
14日 |
21日 |
28日 |
35日 |
42日 |
57日 |
マツグリーン液剤 |
1,000 |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
1.1(1) |
9.0(8) |
10.1(9) |
0 |
- |
MEP乳剤 |
180 |
0 (0) |
0 (0) |
0.4(1) |
3.6(3) |
1.5(3) |
7.7(10) |
13.2(17) |
0 |
- |
無処理区 |
- |
28.7
(38) |
70.3
(75) |
156.4
(157) |
287.5
(300) |
247.4
(285) |
356.0
(529) |
1,146.4
(1,384) |
88.9 |
+ |
現在、マツクイムシ防除の市場は有機リン剤が主流となっており、地上散布と空中散布を合わせたマーケットは約16億円と見られている。
『マツグリーン液剤』は、有機リン剤がもっていた臭いを解消し、非常に使い易くした。また、高濃度での殺虫効果と低濃度での後食阻害の両方を併せもち、これらから有機リン剤の約20分の1程度の濃度で効果を発揮し、さらに価格も15〜16%安く低コスト化をはかっている。
『マツグリーン液剤』の農薬登録は、今のところ地上散布だけだが、同社では将来的には空中散布への展開を期待しているほか、販売ルートも現在の18特約店から拡大していきたい意向であり、これらにより数年後には約3億円強の売上を確保したい考えだ。
【(株)ニッソーグリーンの概況】
環境問題やガーデニングへの関心が高まっているなか芝農薬市場、非農耕地向け農薬市場、野菜・果樹向け葉面散布液肥分野、さらに家庭園芸向け市場等のニーズを迅速・的確に掴み、小回りの利く専門販売会社として、平成11年4月1日に日本曹達(株)農業化学品事業部アグロ製品部が発展、独立した。
資本金5000万円。従業員数15名で、販売力および独自性に定評がある。製品は12製品群・約100品目に及んでいるが、今秋には家庭園芸向けのエアゾール『モスピラン・トップジンMエアゾール』(製品名)が上市される見込みであり、この分野に無い全く新しいタイプの殺虫・殺菌混合剤として期待されている。
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