武田薬品工業(株)アグロカンパニー(生津嘉朗プレジデント=東京都中央区)の「ブラシン」は、殺虫剤、殺菌剤との混合剤を豊富に取り揃えており、市場の様々なニーズに対応できる体制を整え好評を博している。来農薬年度には上市10周年を迎え、新たな局面に入る。
殺菌剤「ブラシン」(有効成分=フェリムゾン・フサライド)は、いもち病・ごま葉枯病をはじめ、穂枯れ性病害も同時防除ができる新しいタイプの「仕上げ防除剤」として、1991年に『ブラシン粉剤DL』、『ブラシン水和剤』が農薬登録を取得した。
「ブラシン」の有効成分の一つ「フェリムゾン」の作用特性は、既にいね体内に侵入しているいもち病菌に対して稲の抵抗性反応を誘導して菌糸伸長を強く抑え、死滅させる。また、いもち病以外の種々のいね病害にも効果を発揮するなどが挙げられる。
「ブラシン」はフェリムゾンに予防効果の優れるフサライドを混合しているので、予防・治療の両効果を有し、いもち病菌のライフサイクルのどの場面にも有効に作用し、病害発生の隙を与えないことが最大の特長となっている。
ブラシンの特長をさらに詳細に整理しておくと、いもち病・ごま葉枯病・穂枯れ・変色米(カーブラリア菌、エピコッカム菌、アルタナリア菌)稲こうじ病・すみ黒穂病の同時防除を可能にした上に、内穎(ないえい)褐変病・褐条病・籾枯細菌病のバクテリア(細菌)病害にも有効である。また、いもち病菌が侵入した後からでも強い治療効果を発揮するので、各地の試験場での発生予察(ブラスタム)に対応できる薬剤である。
鋭い治療効果と予防効果をもつ適期幅の極めて広い薬剤であること、浸透移行性に優れ降雨の合間の散布でも卓越した効果を発揮すること、さらに他剤で耐性の見られるいもち病菌やごま葉枯病菌に対しても優れた効果を発揮すること、等が挙げられる。
「ブラシン」は、殺虫剤、殺菌剤との混合剤を豊富に取り揃え、市場の様々なニーズに十二分に対応できる体制を整えている。ラインナップ数を見ると、粉剤13種類、水和剤3種類、フロアブル3種類、ゾル2種類、総計21種類を取り揃える。
なお、フェリムゾンとトリシクラゾールとの混合剤「ノンブラス」も好評を博していることを付記しておきたい。
【解説】 武田薬品工業(株)アグロカンパニーにとって、この「ブラシン」はいもち病防除剤としては初の独自開発製品に位置付けられる。そして、剤型の拡大、混合剤の多様化及び適用拡大のなかで、同社の中核的な大型製品に成長してきた。さらに、アメダスデータと連動させたいもち病予察技術「ブラスタム」を活用できる薬剤として位置付けしたことも業界の先駆けとなっている。
武田薬品工業(株)アグロカンパニーでは、いもち病防除の今後の展望として「全国的な流れとして、箱処理剤での防除が主力となり、本田での防除は出穂期の防除に集約されてくる」と見ており、この時期の「総合的な仕上げ防除剤」として「ブラシン」を位置付けていく。また、それぞれの現場にマッチした混合剤を積極的に普及していく方針だ。来農薬年度には、上市10周年を迎え、新たな局面を迎えることになる。
|