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アグリビジネス話題の製品

鱗翅目害虫に対する高い殺虫活性に魅力
園芸用殺虫剤「フローバックDF」を新発売

― 住友化学工業 ―

フローバックDF
 住友化学工業(株)は7月4日、平成13年6月11日付けで農薬登録を取得した、自然の力をそのまま生かした新規園芸用殺虫剤『フローバックDF』の販売を、7月3日より開始したと発表した。BT剤に豊富な経験を持つ同社だけに、今後の成長が期待される。
 『フローバックDF』(成分=バチルス・チューリンゲンシス菌の生芽胞および産生結晶毒素・・・10.0%、糖類、界面活性剤等・・・90.0%)は、自然界に広く存在している芽胞細菌[バチルス・チューリンゲンシス(=BT)]の殺虫力を利用した、いわゆるBT剤の一種で、人畜、魚介類、鳥類に対して極めて安全性が高い農薬として注目される。
 近年、チョウ、ガ類などの鱗翅目害虫の中には、各種の農薬に対して抵抗性を持つ「難防除害虫」が見られるが、これらの害虫に対しても、BT剤は一般に安定した効果を発揮することから、野菜を中心に害虫防除の基幹剤として広く使用されている。
 また、BT剤は昨今、消費者の間で関心が高まりつつある有機農産物の生産に使用できる薬剤としても高く評価されている。
 『フローバックDF』は、BT菌の亜種アイザワイ系統の優れた菌株を、遺伝子操作や死菌化などの処理を行わずに利用した新規のBT生菌剤として登場した。
 本剤の特長を見ると、先ず鱗翅目害虫に対する殺虫活性が高く、死菌剤に比べて効果が速く発現する点が指摘できる。特に、ヨトウムシ類に高い活性を示すCryTCを始めとする複数の殺虫性タンパクを含むため、ヨトウムシ類と他の鱗翅目害虫との同時防除が可能だ。
 また、各種既存殺虫剤やBT死菌剤に抵抗性のコナガにも高い効果を示すこが魅力となっている。
 さらに、ドライフロアブル製剤であるため、粉立ちが少なく、計量しやすいなど非常に使い易くなった点も見逃せない。加えて、人畜、魚介類、鳥類並びに天敵、花粉媒介昆虫に対する毒性が低く、新JAS法に基づく「有機」農産物の生産にも貢献していることが付記できる。
 住友化学工業(株)では、かねてよりBT剤の商品化に注力し、既に『ダイポール水和剤』(農薬登録取得:1982年2月23日)、『エスマルクDF』(同:1998年1月12日)を販売し高い評価を得ているが、この『フローバックDF』についても、さらに、ピーマン(ハスモンヨトウ)、ネギ(シロイチモジヨトウ、1,000倍)などの登録作物を拡大していくなど、積極的な販売を展開していく方針だ。
 『フローバックDF』は、その兼ね備えている特長から、BT剤の適用可能性を拡大していくものとして期待されている。販売は、同社及び八洲化学工業(株)が担当するが、9月末までは(株)アグロスと八洲化学工業(株)の取り扱い。
 現在、このBT剤市場は約120トン(本紙推定で約10億円)と見られているが、同社ではこれまで培ってきたノウハウを活かしながら積極的な販売展開を行い、3剤で数年後には市場の25%〜30%のシェアを目指していく。

グラフ

適用害虫と使用方法


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)