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アグリビジネス話題の製品

新世代ネオニコチノイド
殺虫剤 「アクタラ」 2製品を上市

― シンジェンタ ジャパン ―

殺虫剤 「アクタラ」 シンジェンタ ジャパン(株)(デニス・ターディ社長、本社:東京都中央区晴海1ー8−10)は9月5日、新規ネオニコチノイド系殺虫剤「アクタラ」の上市記者会見を行った。成分が植物体のすみずみまで行き渡り、ワイドな効果に魅力がある。
 「アクタラ」は、ネオニコチノイドの新規系統チアニコチニル系の殺虫成分チアメトキサムを含む殺虫剤。
 8月28日付け農薬登録では、野菜土壌処理用の『アクタラ粒剤5』、果樹、野菜・畑作散布処理用の『アクタラ顆粒水溶剤』、水稲育苗箱処理用の『アクタラ箱粒剤』の3製品を取得したが、販売は「粒剤5」と「顆粒水溶剤」の2製品に限定される。

デニス・ターディ社長
デニス・ターディ社長
 「水稲育苗箱処理用の箱粒剤」の展開については、ピロキロンとの混合剤(試験名:NOJ−121)、アシベンゾラルSメチルとの混合剤(同:NOJ−116)の殺菌剤との混合剤の登場を待ち本格的に市場展開される。この分野は、先行大型剤が確実にその地歩を固めつつあり、さらに開発途上にある製品も多く激戦区となることから、営業・流通戦略が注目される。

 『アクタラ粒剤5』の特長は、先ず幅広い殺虫活性にある。アブラムシ類、コナジラミ類、スリップス類などの吸汁性害虫のみならず、ハモグリバエ類およびコナガ等の鱗翅目に対する効果を含め幅広い殺虫活性を有し、広い範囲の初期害虫の予防が可能。
写真 また、浸透移行性に優れているため、作物のすみずみまで効果が行き渡る魅力がある。その他、土壌の水分条件に関わらず安定した効果が発揮されるほか、特にアブラムシ類に対して優れた残効性を示す点が指摘できる。
 一方、『アクタラ顆粒水溶剤』の特長は同じく幅広い殺虫活性に見られ、アブラムシ類、コナジラミ類、スリップス類などの吸汁性害虫のみならず、カメムシ、コナカイガラムシ、ハモグリガ・シンクイムシ等の鱗翅目にも高い効果を示し、果樹分野における同時防除を可能としている。
 散布処理では葉面からの吸収性と葉裏への浸達性に優れ安定した効果を発揮するほか、アブラムシにおいては種類を選ばず安定した効果を示し約3週間以上にわたる残効性を有すことが特筆できる。
 市場性としては、「粒剤」はきゅうり、なすを始めとする果菜類や葉菜類の育苗期及び定植時処理剤として、より幅広い初期害虫を目標に推進される。また、「顆粒水和剤」はかんきつを中心とする果樹分野で、アブラムシ類、スリップス類を中心とする各種害虫の同時防除分野に薦めていく方針。

 【解説
 記者会見席上、デニス・ターディ社長は「本製品は、日本の市場に大きなインパクトを与え、さらにシンジェンタの中核的なプロダクトとなろう」、と挨拶した。「アファーム」、「アミスター」、「スプラサイド」とならぶ大型園芸剤に成長させたい考え。
 現在、ネオニコチノイド系の殺虫剤はイミダクロプリド、アセタミプリド、ニテンピラムが市場にある。本剤は、これら先行剤と差別化されているが慎重な普及展開が必要だろう。なおチアメトキサムは、日本では芝用で『ビートルコップ顆粒水和剤』として先行、海外ではブラジル、米国、韓国、カナダなど25カ国以上で既に上市されている。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)