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会見で挨拶する山田常務(右)。中央は笹本エコロジー事業室長。 |
愛知製鋼(株)(柴田雄次社長、本社:愛知県東海市)は4月10日、東京支店において記者会見し、土壌改良材『鉄力あぐり』(てつりきあぐり・製品名)について、5月より市場投入していくことを明らかにした。アグリ分野への初参入として注目される。
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『鉄力あぐり』製品見本
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新製品『鉄力あぐり』は、鉄イオン供給源としての新素材を、自然界では存在しにくいFeO(酸化第一鉄)をベースに製造されている。このFeOは、植物の光合成に必須といわれている鉄の2価イオンを供給するものとして期待されている。
FeOは実験用試薬として少量販売されているものの、価格的に有利でないことや、土壌中に投入しても大気あるいは水分の影響で酸化が進み(酸化第二鉄)に変化してしまう。しかし、このは水に溶けないため、鉄イオンを植物に供給することができない。
同社では、永年にわたり特殊鋼の製造で培ってきた豊富な技術をもとに、FeOの土壌中での酸化を防止する技術を開発した。FeOの量産化技術の開発も進み、さらに安価での供給体制も実現した。
この新素材は、FeOを基本成分としながら、植物の成長や光合成に重要な働きをするといわれているCaイオン、Mgイオン、Znイオンも同時に供給できるようにミネラル成分を含有させており、これらミネラル成分は植物に容易に吸収される。しかも、このイオンを長期間安定的に供給することができるため、植物成長の全ステージに有効である。
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試験栽培したタマネギ
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対象作物は多岐にわたるが、試験栽培ではタマネギ、ハクサイ、ニンジン、スイカ、コマツナ、ラッカセイ などを中心に、成長が速く、根や葉が丈夫で生き生きと育つという好結果が得られている。
『鉄力あぐり』の包装は、500gと10kgの2タイプがあり、価格はオープン価格としているが、一応500円/kgを目処としている。同社では3年後の販売目標を約20億円としている。製造は、同社知多工場。記者会見に臨んだ山田忠政常務は、「環境にやさしい製品開発に注力していく」とし、エコロジー事業の積極展開を披露した。
〈問い合わせ先〉〒476−8666 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製鋼(株) 営業統轄室 野村 電話(052)603−9308 (2003.4.11)