JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

コラム
 

アメリカン・グローバリズム

 「大義」も「正義」もない、アメリカのイラク攻撃がついに始まった。この戦争は、「イラクの自由・解放」のためというが、紛れもなく「帝国(ブッシュ)の野望」であり、「アメリカン・グローバリズム」のゴリ押しと、誰しもが思う。
 グローバリズム、ふつう「国際化」「国際主義」と訳されるが、これにアメリカンがつくところに問題がある。なぜなら、イラク攻撃に端的に表れているように、「アメリカの価値観こそが絶対である」という、不遜な考えの押し付けだからである。
 現在、WTO農業交渉がモダリティ(保護削減の基準)をめぐって、アメリカやケアンズグループと日本・EU側と対立しているが、対立の根底は、この価値観の違い。経済評論家の内橋克人氏に言わせれば、グローバリズムの本質は、アメリカ以外の先進国には「つくらせない、買わせる」という構造を自生させるところにある。日本は米を100%自給できるのに、減反までして輸入せざるをえない。「作れるのに、作らせない、買わせる」というイデオロギーの押し付けのなにものでもないと、喝破する(2月11日、日本農業新聞)。
 もう1つ考えなくてはいけないのは、農協とは何か、その存在意義は何かということ。昨年の武部前農相の「改革か、さもなければ、解体か」は、許し難い農協に対する侮辱だが、依然、農協攻撃、全農攻撃の流れはつづいている。
 この農協攻撃の流れも、グローバリズム、それを受けた小泉構造改革と無縁ではない。農協は言うまでもなく「一人は万人のために、万人は一人のために」という、弱肉強食の資本の論理とは、真っ向に対立する崇高な理念をもつ存在。
 今は亡き、三輪昌男先生が「農協は『自治と自立』を原則とする組織。今、国がすすめている農協改革は異常な対応、不当な干渉。世界史のうねりは、農協の存在意義の発揮を強く促している。農協は理論武装して、毅然とした対処を」(「協同組合経営月報」03・1月号)と、「遺書」を残されているが、まさに、そのとおり。
 内橋先生や三輪先生のように、グローバリズムの本質、その流れにブレーキをかけられるのが唯一農業であり、その運動を展開するのが農協だ、という認識を少なくとも、農業関係者全員が共有するときだと思う。そうでないと、アメリカン・グローバリズム、ブッシュのサーバント(召使い)、小泉首相に、日本農業そのものが潰される。もちろん、そのときは農協の存在はありえないのは自明。  (だだっ児)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp