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この人と語る21世紀のアグリビジネス
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肥料メーカーの負担軽減へ生き残りかけ、なおも合理化 |
農業生産が落ち込み、減化学肥料栽培が増えるなどの逆風の中で、肥料の原料をつくる同社の業績は善戦といえる。同社に出資している全農と肥料メーカー各社が製品を買い取るため山田常務は、我が社の善戦というよりは「株主各社の善戦です」と説く。固定費を株主各社が分担するという財務の会社だが、硫酸の製造過程で発生する熱エネルギーで自家発電し、さらに一部を関連会社に送電するという仕組みなどもちょっと珍しい。「生き残りをかけて、さらに合理化を追求し、株主の負担を軽減したい」という常務の話は堅実そのもの、計画倒れにならないよう「実行していく」と強調した。
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◆資源保護の影響も
「それだけではなく、リン酸とリン安と硫酸の3つをつくっています。副産物には石膏もあります。日産化学工業、全農、昭和電工、三菱アグリ、住友化学工業、多木化学、三井東圧肥料の7社共同出資の会社です」 「昭和42年に肥料センター的な位置づけの下にできました。だから、今はなくなったけど当初は工場と近接して日本アンモニアという社の工場もありました」 ─リン鉱石は米国のフロリダ産ですか。 「いえ、今は資源保護等のためフロリダの山元からは出荷されておりません。それで我が社はモロッコ、ヨルダン、中国から仕入れてブレンドして使用しています」 「技術者は昔のフロリダ産が懐かしいようです。プラントがそれ向きになっているので」 ─成分に違いがありますね。 「ええ。問題は副産物の石膏がどういう形態で出るか、それが悪いと石膏ボードの製造原料に適さないので、クリアできるように工夫しています」 ─販売先は? 「近隣のボードメーカーさんなどに安定的に引き取っていただいています。また天然も国内品も価格差が小さくなっています」 ◆専用の岸壁を持つ ─硫酸の原料の硫黄はやはり地下資源を買うのですか。 「リン安の需要量は約60万トン強です。輸入品の価格は安いですね。しかし国産としての利便性があるから我が社も持ちこたえています。国産と輸入品の価格差がトン当たり1万円を割り込めば、我が社の製品も価格的には使用しやすいと思います。1万円割れというのは私共の経験則としての目安です」 ─硫酸は半分が外販ですね。 「はい。我が社の特徴として硫酸製造が減ると困るんです。というのは硫酸を製造する過程で蒸気が発生し、これを工場内の熱源として使用し、余剰分で自家発電しているのです。それでもってリン酸やリン安をつくるエネルギーをまかなうシステムです。外販が減ってくると発電量が減ってエネルギーコストが高くなり、製造経費が割高になってきます」 「硫酸の製造能力は47万トンですが、今の生産量は40万トンでエネルギー収支がマイナスにならないぎりぎりの水準です。生産量が増加した場合には買ってもらっています」 ─正にコンビナートですね。農業生産が減少し、減化学肥料栽培なんかが盛んにいわれる中で、日本燐酸はなかなか善戦しているのですね。 「株主各社の善戦に我が社が乗っかっている形ですよ」 ─前期(6月期決算)の売上高はどれくらいですか。 「61億2000万円で前々期に比べ5000万円ほど減少です。価格変動もありますが」 ◆安い原料へシフト ─社の将来性はどうですか。
(2003.7.25)
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